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不動産購入に際しての、相続税対策にも要注意

日本で超富裕層の直前の相続税対策は、賃貸不動産を活用することである。所有者が亡くなれば、その物件は購入価額で評価されず、土地は国が決めた路線価格、建物も国が決めた固定資産税評価額、さらにその不動産を賃貸にしていれば、土地は借地権割合×借家権割合だけ路線価からさらに減額される。建物も借家権割合(30%)が固定資産税評価額からマイナスされる。そのため、10億円で購入した物件も相続税評価額では3億円未満ということも珍しくはない。昨年、東京でタワーマンションの高級が売れたのも、けっして相続税対策と無縁ではない。2億円のマンションも相続税評価額では5000万円。すごい相続税対策ではないか。

 

相続時の不動産価格は時価である(相続税法22条)アメリカなどでは、その価額を不動産鑑定士などの評価に委ねるが、日本では財産評価基本通達なる国税庁が決めた価額になる。そのため、世界で唯一存在する「路線価」「借地権割合」「借家権割合」、これが全てである。しかし、これで相続税申告書を提出した者が否認された。国税庁の「財産評価基本通達」どおりに申告したのに、何故か。

 

この者は相続税対策として被相続人名義で賃貸不動産を購入した。銀行からの借金である。その後、賃貸不動産を賃貸していたが、平成24年6月に所有者が亡くなり、相続税申告において、財産評価基本通達どおりに評価し、借入金を控除して税務署に申告した。その後、相続人はその不動産を購入価額と同額程度で売却し、借入金を返済した。しかし驚くべきことに、税務署はこの申告を否認した。つまり不動産の評価額は「財産評価基本通達」によってはいけない。「財産評価基本通達」によらないことが相当と認められる特別の事情があるとして否認した。

 

「財産評価基本通達6項」というのがある。これは財産評価基本通達によって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価すると定められている。この根拠は、銀行がこの賃貸物件の融資の際の「貸出稟議書」には「相続税対策のため不動産購入を計画、購入資金につき借入の依頼があった」の記載があり、その結果、国税当局は「実質的な租税負担の公平を著しく害し、著しく不公平なもので、財産評価基本通達によらないことが相当と認められる特別の事情がある」として時価で評価した。税金はあくまで税法によって課税されるもので、国会の審議も何もない国税庁の通達で国民が縛られるのは日本だけだろう。

 

税務署が問題にしたのは、相続後すぐに売却したことだろうか。実質的に世界一高額な日本の相続税。「財産評価基本通達6項」がこのように、税務署側だけの判断で適用されれば、相続税対策のための不動産購入は今後大きな問題を提起することになる。

 

 

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百田尚樹著 『大放言』 新潮新書 760円+税
思ったことや軽いジョークを口にしただけで、クレーム、バッシングの嵐。求められるのは人畜無害な意見ばかり。こんな息苦しい世に誰がした?数々の物議を醸してきた著者が、ズレた若者、偏向したマスコミ、平和ボケの政治家たちを縦横無尽にメッタ斬り。炎上発言の真意から、社会に対する素朴な疑問、大胆すぎる政策発言まで、思考停止の世界に一石投じる書下ろし論考である。かつて方言は一つの文化だった。しかしいつも間にか、社会はそうした寛容さを失った。行き過ぎた表現といったものに対して過剰に反応し、言葉の一部分だけを取り上げて悪意を持って曲解し「その言い方は許さない」「責任を取らせる」とメディアが一斉攻撃するような風潮ができ上がってしまった。私は著者の百田氏を擁護するわけではないが、この本の中での「土井たか子は売国奴」発言で著者は非難された。拉致問題など存在しないとした当時の社会党委員長。そのために有本恵子さんや石岡亨は、唯一北朝鮮とパイプのあった日本社会党の密告によって粛清された。これを百田氏の嘘偽りだというのなら、又市氏は堂々と国会でやればいい。私もこのことについては今なお、日本社会党は売国奴、北朝鮮のしもべだと思われても当然のことではないかと思う。

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