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CRS制度が日本人富裕層に直撃

海外の金融機関を利用した国際的な脱税や租税回避に対処するために、OECDは共通報告基準(Common Reporting Standard)いわゆるCRSを作った。これによって、金融機関が非居住者に係る金融情報を税務当局に報告し、これを各国の税務当局間で互いに情報交換することになった。このシステムができるまでは、海外に保有する金融資産を日本の税務署は把握困難であったため、納税者本人の自主申告がない限り、税務署としても指をくわえているしかなかった。

 

OECDで合意した金融機関情報とは①氏名、②住所、③外国の納税者番号、④口座残高、⑤利子・配当の年間受取総額の5項目である。

 

一方、日本の税務当局は本人に自主的申告を促すべく、近年以下の制度を導入した。①国外財産調書制度、②財産債務調書制度、③国外転出時課税制度である。これによって、海外に5000万円以上金融資産がある者、2000万円以上所得があって財産が3億円以上ある者、株式など1億円以上あって海外に居住場所を移す者などは、ことごとく税務署へ自分の財産内容をつぶさに、種類別に申告しなければならなくなった。当局による富裕層に対する炙り出しが最近ひどくなったようだ。

 

特にシンガポール。シンガポールでCRS規制が施行されたのは今年2017年からである。そして2018年から実行開始予定である。口座情報は①氏名、②住所、③居住地国、④納税者番号、⑤出生日付とあるが、法人でも受動的な一定の法人(Passive NFE)については、個人と同様の情報を報告しなければならない。受動的な法人とは、全体の収益に占める利子・配当の割合や、受動的資産(利子・配当の基となる資産)が50%以上となるなどの要件(CRS規制Schedule, Section ⅧD(9))がある。

 

つまり、法人の企業活動として、配当・利子、ロイヤリティー、賃貸収入、キャピタルゲインなど、額に汗しない収入が多いと、個人と同様とみなされ、それらの中味の情報が開示される。そして当然ながら、その法人の株主や役員なども日本の税務当局に通報される。さらに虚偽の申告をした場合には1万シンガポールドル以上の罰金、2年以下の禁固刑である。シンガポールは、2018年以降は脱税者には恐ろしい国に生まれ変わる。

 

スイスがオバマ大統領によって、ことごとく透明化されたのと同様シンガポールもそうなる可能性は強い。日本人富裕層を保護してくれるのはアメリカだけか。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
秋山開著 『18時に帰る』 プレジデント社 1500円+税
この本は「世界一子どもが幸せな国」オランダの家族から学ぶ幸せになる働き方、というのが副題に書いている。
日本では電通の問題をはじめ、安倍内閣の同一労働同一賃金など叫ばれているが、なかなか問題は解決しない。かつてのオランダも今の日本と同じ問題を抱えていたが、1980年代に深刻な経済不況に陥り、その中で1982年に政府、労働組合、企業経営者の三者による「ワッセナー合意」(賃金の上昇の抑制などの取り決め)が採択される。ここからオランダでは「働き方」を変えるということになった。
それからである。オランダでは、労働者に働く場所や時間を決める権利ができ、経営者はそれを決める権利がない。そしてオランダの人たちがしなやかさを持って生きていることの象徴として、オランダで共有されている1つの認識は、18時になったらみんな家に帰るというもの。
この18時に帰るという習慣は、自分の時間、家族の時間を大切にしているということ。フルタイムもパートタイムも働く時間数、勤務の中味などは人それぞれである。パートタイムからフルタイムへの変更も可能である。
平均的なオランダ人夫婦は、男性が週4日フルタイムで働き、女性が週3日パートタイムで働く。これにより子育てしながら働くというバランスがとれる。フルタイムとパートタイムの待遇は「同一労働同一賃金」が基本で、統計によるとオランダでは89%の人が仕事のやりがいを感じているという。そして、限られた時間内で最大の結果を出せるという。

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