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オバマ大統領の確定申告書

日本では首相や閣僚、あるいは国会議員の資産公開はあっても、毎年の所得税確定申告書の公開はない。あっても所得総額であり、その中身までは知り得ない。

このほど平成24年(2012年)のオバマ大統領の確定申告書(Tax Return)の内容が明らかになった。筆者はこのことについて、つまりアメリカの政治家の収入の透明性について、もっと日本のマスメディアはキッチリと報道すべきだと思っている。かつての鳩山首相のように、自分の所得やら政治献金やら母親からの贈与など、わけのわからない収入がごちゃ混ぜで、国民に全く知らしめない。その意味では中国も同じだが、アメリカはそれでは通じない。

彼の昨年1年間の総所得(Adjusted Gross Income)は608,611ドル(約6,000万円)、前年比23%ダウン。この原因は印税収入が減少したことに起因している。日本人はほとんど知らないが、大統領職としての年棒は40万ドル(約4,000万円)と決められていて、それを上回る収入は日本でいう雑収入である。

利息収入は11,462ドル(約110万円)とあるが、アメリカでは閣僚になると、上場株式を所有できないことから、就任時に売却しなければならない(特別に非課税)。したがって、売却代金を預金するから利息収入が増えるのである。そして3,000ドルのキャピタルロス(株式譲渡損失)があり、所得と通算している。このキャピタルロスは、たぶん大統領就任時に売却した株式の繰越損失が今もあって(日本では3年が限度)、連邦所得税法では3,000ドルまでなら所得と通算できることになっているので、それを利用しているとみられる。

そしてもう一つの収入は2ドルの配当収入である。この2ドルの配当収入がどこの株式かを巡ってさまざまな憶測はあるが、大統領名義の上場株式はすべて売却している。筆者が想像するに、子供名義の株だと思われる。アメリカでは子供のバースデーの記念にウォルトディズニーの株式を1株購入する家庭が多いので、そうなったのではないかと思われる。

大統領の所得控除額で何といっても大きいのは、寄附金控除150,034ドルである。このうち103,871ドルは軍隊の家族を支援する慈善団体(Fisher House Foundation)、残りはすべてご自分の娘が通っている学校に寄附している。日本では子が通っている学校に寄附しても寄附金控除は認められない場合が多いが、アメリカは全額認められる。

その他、住宅ローン控除がある。ローン控除は45,046ドル(約450万円)。これも日本では住宅ローン控除は最高で年間50万円、しかも年所得3,000万円以上の者には一切、住宅ローン控除は認められない。大統領の確定申告書を見ても、所得税率の差よりも、いかに収入から控除できる金額が多いか。同じ収入なら日米で倍以上の税負担が異なるというのがよくわかる。

いっそうのこと、安倍首相とオバマ大統領の確定申告書を比較して、日本の高所得の累進課税がいかに過酷かを論じても無駄ではあるまい。

 

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信田さよ子著 『依存症』 文春新書 693円
かつては異存症と言えば「アルコール依存症」と決まっていたが、最近は「薬物依存症」「ギャンブル依存症」「たばこ依存症」から始まって、「買い物依存症」「暴力依存症」まででてくる始末。例えば酒がやめられない人は意志が弱いからで片づけられていた。ストーカーや家庭内暴力をとっても、加害者は自分で被害者と思い込んでいる場合が多い。アダルト・チルドレンという言葉もあるように依存症を断ち切れない人々はそれ自体が病気だという。

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