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非上場会社株式の評価、日米に大きな隔たり

事業承継税制、つまり中小企業のオーナー経営者が亡くなった場合の相続税の際の株式評価額をめぐり、今国会では大きな議論になっている。株式評価額が高くなって、相続税が重くて継げない子が続出しているからである。日本では相続税を計算するにあたって、不動産や非上場会社株式の評価額は、相続税法第22条に「時価」ですると書いてある。ところが実際はそうではなく、法ではない「財産評価基本通達」によって時価の算定を行うのである。土地や家屋などは役所が公表している「路線価」「固定資産税評価額」「借地権割合」「借家権割合」の4項目ですべて時価が決まる。アメリカのようにアプレイザルを取らなくてもいい分、簡単だ。非上場会社株式の評価は、その会社の「利益」「配当」「純資産」それに「類似業種批准価額」の、これまた4項目で決まる。当たり前の話だが、それでは、今の時代、不都合が生じてきたのである。だいたい、対象の中小企業者の行う事業と同じ事業を行う上場株式の株式価額と批准するとしているが、その中小企業と同じ事業を行っている上場会社などあるはずもない。これ以外の不都合が続出したのである。そこでやっと、国税関係が動き出し、非上場会社株式の評価額の「試案」なるものを国税庁や経済産業省などが提出したが、案の定、議論百出。しかし、なんとなくまとまったものが出来たが、財務省抜きであったので、案の定、先日、片山財務大臣は「私は聞いていない。白紙だ」と述べて、これから、また一から出直しだ。もともと「時価」とは不特定多数の下での公正な取引価額を意味するものを、国が独自の方法で、時価を決めるというので今までやってきたが、土台無理がある。
一方、アメリカではどうかというと、非上場会社のオーナーが亡くなった場合の非上場会社株式の評価は「死亡時点における非上場会社株式の公正市場価値(Fair Market Value)」によるとある。アメリカでは日本独自の財産評価基本通達なんかは無いので、Revenue Ruling 59-60によれば、評価は、その会社の収益力、純資産、将来性、支配権の有無などを総合的に勘案して決定するとしてある。Revenue Ruling 59-60に、いろいろ書いてあるが紙面の都合もあり要約すると、評価額の算定は、その株式を死亡時点で売却すると、一体いくらで売却できるのかを推定する。例えば収益還元法・DCF法、あるいは純資産価額方式など沢山ある。それらを勘案したうえで、将来の収益見込み、事業のリスク、などの増減項目を網羅する。IRSの調査指針では、死亡前5年間の申告書、過去の株式売買、を確認して減額要因を探す、具体的には会社支配権減額(discount for Lack of Control)、株式の市場流通性減額(Discount for Lack of Marketability)を調べる、これは、この株式はすぐに売却できなかったり、買い手が見つかりにくい事情を考慮して、これを評価に反映させるのである。要約すると、①会社の価値を市場価額で算定する②オーナー経営者がどのような権利を持っていたか、が重要であるとしている。日本と異なり、アメリカでは、帳簿上の価額で会社評価をするのではなく「①会社の収益力②会社資産③将来性④株主の権利、を踏まえた上で、公正市場価値で評価をするとRevenue Rulingが言っている。例えば、継いだ息子に死んだ親ほどの経営能力が無ければ減額要因になり、そして、親がいない会社は、誰も買わないと推量できればそれも減額要因である。
日本の財務省も、これほどボーダレスや国際化を叫んでいるが、財産を日本の財産評価基本通達でのみ評価される国に、欧米の富豪が日本に財産を置くであろうか。考えさせられるのである。

★ 推薦図書。
渥美正彦著 「睡眠は最高の健康投資だ、夜、目が覚めてしまうアナタへ」 文藝春秋11月号 1227円
著者は睡眠専門医である。健康に一番大切なのは睡眠である。睡眠における大きな悩みの一つが、夜中や早朝に目が覚めることである。朝までグッスリ寝たいのに、眠りが途切れ途切れなってしまう。医学的には「中途覚睡」と呼ぶ。毎晩3回以上目が覚めるなどである、その対処法としては、強い光を目に浴びない、決まった時間に起きる、寝る前にアルコールを飲まない、など為になることが書いてある。

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