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「配偶者居住権」とは何ぞ?民法の改正

2019年02月25日

このほど民法の改正で「配偶者居住権」なる用語が新設された。「配偶者居住権」とは何なんだと、判りにくい、しかも新しい言葉である。解説するなら、例えば、夫と妻の二人暮らしだったとしよう。子は長男一人で、ある日、夫が亡くなった。夫所有の家であったが、その家は長男が相続した。すると長男は自分の母親に「僕の家になったのだから、出て行ってくれ」と言って、母親を追い出す事態が多発しているらしい。私は考えられないことであるが、現実である、日本も世も末か。

 

民法では、被相続人の所有建物に配偶者が居住していた場合に、その建物を他の相続人が取得すると、配偶者は通常その建物に対する独自の占有権原を有していないため、その建物に住み続ける権原がない状態となる。そういう理由から、今回の民法改正で、親が子から追い出される事態を防ぎ、住んでいる家の所有者ではなくても一定期間その家に住み続けることができる「配偶者居住権」なる権利が新設されたのであるが、民法改正を喜んでばかりではない。場合によっては、死ぬまでではなく、短期間で追い出されることもある。この「配偶者居住権」は、①短期居住権と②長期居住権とがあるそうだ。

 

① 短期居住権
亡くなった夫のその妻が、夫の遺産分割協議で、長男がその家屋を取得した場合には、長男が相続取得した時までしか「配偶者居住権」は認められない。しかし、最低、夫の死後6か月間は住める。

 

② 長期居住権
これは、配偶者が、自分の家として無償で使用・収益ができる権利で、原則として終身である。この場合、家の所有権を「配偶者居住権」と長男の「配偶者居住権の負担のある所有権」に二分することになり、登記簿謄本に記載するが、しかし死ぬまで居住することができるのは以下の三つの場合であるとしている。
(1)遺産分割協議によって、母親が死ぬまでここに住んでも良いとした場合
(2)夫の遺言で、妻が死ぬまでこの家に住めるとした場合
(3)家庭裁判所の遺産分割審判で、母親が勝って配偶者居住権を得た場合

 

実際問題、実の親子で、どれくらいモメごとが起こっているかは知らないが、最近、親の子への虐待がよく問題になり、数多くの子が、それによって幼い命を絶たれているのは痛ましい限りである。子が小さいときは親が虐待をし、子が大きくなると親を虐待するのは、最近の日本の風潮かとまでいわれるありさま。しかし、追い出し問題は多分、後妻が絡むことが多いのではなかろうか。

 

 

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