代表者ブログ

日本の相続法が変わる

2018年12月03日

これから関空。アメリカに飛ぶ。今、空港のラウンジでこのブログを書いている。

 

約40年ぶりに大改正となる民法の相続編。まず、その第一は配偶者の居住権を保護するための法律。これは例えば、夫が亡くなって、その家を長男が相続した場合、長男が老いた母親を追い出したり、強制的に老人ホームに入居させたりするケースが数多くあることから、新法では「配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象に、終身又は一定期間、配偶者にその使用又は収益を認めること」を内容とする配偶者の法定権利を新設することになった。

 

これは、平成32年4月1日以降の相続から適用されるが、そもそも、夫に先立たれた妻、あるいは妻に先立たれた夫、つまり自分の親を長年住んだ家から追い出してはならないとする法律。私には考えられないが、それを法律にしなければならなくなった日本。諸外国、特に先進国は、日本のこの新しい法律をどう見るのか。そのうち老いた親を虐待してはならないという法律もできるかもしれない。

 

それから、遺留分制度に関する見直しも行われる。これは法定相続には法定相続分というのがあって、標準世帯の場合は、配偶者は2分の1、長女、長男はそれぞれ4分の1の相続取得の権利があるが、遺言でそれが守られない場合、例えば長女は遺産はゼロとうたっても、法定相続分の2分の1、つまり1/4×1/2=1/8だけは遺産を取得する権利がある。これはフランスでは「親の愛を受けることができなかった子の最後の権利」というそうだ。

 

日本では相続の取り分をめぐって、毎年1万件以上が裁判所に駆け込む。兄弟姉妹間の争いである。その多くは遺留分の問題である。よく相続の本に「遺言を書いていれば相続でモメない」というようなことを書いているが、私に言わせれば、遺言があるからモメるのである。

 

相続財産とは何も、亡くなった時の被相続人の財産だけを言うものではない。長女にはアメリカ留学で3000万円使ったとか、長男の事業資金として2000万円親が出したとか、生前に贈与した財産も相続財産だということである(特別受益)。このため裁判では、30年前に医学部入学の時にこれだけ寄附したとか、結婚の時にこれだけ持参金を持たせたとか、確かめようのないことが数多く出る。このため、新法では、亡くなる10年間に「特別受益」されたものに限り、遺留分算定のための財産価額に算入するとされた。

 

今回の民法の改正は、親・兄弟姉妹間の争いを治めるものだが、昔は親族のモメごとを「裁判沙汰」にすることは憚られた。あまりにも多い親族間の裁判、日本人としての美意識、道徳、倫理、価値観も今は昔か。

 

 

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昭和20年8月6日 午前8時15分。B29から投下された一発の原子爆弾が、広島を死の街に変えた。残留放射能に満ちた市内に通い、原爆症になりながら、その悲劇を記録して後世に残そうとする人物がいた。後に広島平和記念資料館の初代館長となる長岡省吾である。原爆投下の悲劇を伝え続け、今では世界中から年間170万人が訪れる資料館だが、残念なことに彼の存在は驚くほど知られていない。「75年間は草木も生えぬ」そう囁かれた廃墟の街を、命を懸けて平和都市へと蘇らせた人の物語である。この本には広島市長・浜井信三、建築家・丹下健三、被爆者の高橋昭博らが登場するが、それぞれの立場が違っていても、胸にある思いは同じだった。「広島をかならず焦土から平和都市として生まれ変わらせる」。このような人々が被爆資料を集め、資料館を作らなければ、広島はここまで長く「国際平和文化都市」とはならなかった。彼らの努力があったからこそ、原爆ドームがユネスコの世界遺産となり、現職のアメリカ大統領オバマが訪問したのである。実に読み応えのある一冊である。

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