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ギリシャ危機と地下経済と脱税

昨日、日本に戻った。帰国してみると日本の報道はオリンピックのエンブレム問題で湧きかえっている。デザイナーが盗用したとして騒いでいるが、このデザイナーは盗用していないと言い張っているものの、デザイナー自ら、採用を取り消してくれと言ったので、東京オリンピックの公式エンブレムは白紙になったとしている。私も比較して見たが、正直、盗用したか、しなかったのか判断するに際して迷う。いっそう、中国政府にお願いして政府が判断を仰いだらどうだろう。上海万博、北京オリンピックなどいろいろ模倣だとか報じたが、知的所有権を無視する中国政府は微動だにしなかった。中国文化からすると意に介せずである。ある意味、立派である。

 

それはそうと、EUを揺るがすギリシャ危機は、日本の報道を見ると債務超過の国は自身の主張は控えて、ひたすらドイツなどの債権国にすがる努力をしなければという主張が多い。筆者は、ギリシャと日本を比べた場合、ギリシャの方がまだましだと思う。ギリシャ国債の多くはヨーロッパ諸国に買わせているのに対し、日本国債はほとんど自国民に買わせている。日本国債はデフォルトになっても、被害を受けるのは日本国民であるので他国に迷惑をかけない。一方、ギリシャはデフォルトするとドイツをはじめ外国に迷惑をかける。

 

もっと考えるならば、ギリシャ国債をヨーロッパの金融機関が購入しているので、デフォルトすると、ドイツなどの銀行が破綻する恐れがある。破綻すると救済しなければならないのはその国だ。そのリスクを考えるとギリシャを支援するのは当然だという理屈。ギリシャ国債を買った者に責任はあるのだ。そこが日本国債と根本的に異なる。太平洋戦争も最後に犠牲になったのは日本国民であり、GDPの2倍を超える国債の後始末もやはり日本国民であろう。

 

ギリシャはしたたかである。ギリシャ経済は表の顔と裏の顔がある。裏の顔は地下経済(Shadow Economy)である。ギリシャ人の3分の2はまともに申告していないか、まったく申告していないのである。International Taxationの本庄氏によれば、ギリシャの納税意欲(Tax Morale)はEU26か国の4番目に悪く、公共部門の汚職も群を抜いている。肥大化する地下経済は政府歳入を圧迫し、GDP債務比率を押し上げる。

 

地下経済とはなんだろう。IMFが公表した(Hiding in the Shadows – The Growth of the Underground Economy)によると、それは組織犯罪者の麻薬、売春、賭博、人身売買、臓器売買だけでなく、労働者の副業、学生のバイト、会社の裏帳簿の収入、そして大きいのは巨額の脱税であるとしている。これらの資金は銀行を通じないで行われるためわからない。しかし地下経済がGDPに占める割合はEUの問題国のイタリアがなんと26.8%、次いでギリシャが26.5%。日本など数パーセント以下だが、隣の韓国は25.6%もある。アメリカは8.4%、中国はわからないが、かなり大きな数字であろうと思われる。

 

いずれにしても日本の報道機関は、欧米の報道機関の発表をなぜこれほど取り上げないのかわからない。いまだに大本営発表か。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
平山周吉著 『戦争画リターンズ――藤田嗣治とアッツ島の花々』 芸術新聞社 2,600円+税
あまりにも有名な「アッツ島玉砕」。日本人にとっては「硫黄島の戦い」よりも強烈である。日本軍守備隊2600人が全滅した。アメリカ軍1万1千人が5月12日に上陸し、29日に山崎保代部隊長らが最後の斬り込みを行った。「玉砕」の言葉が使われた第1号でもある。
藤田嗣治が当時、陸軍美術協会の理事長の職にあり、玉砕後22日間、毎日13時間、魂を込めて完成させたのが「アッツ島玉砕」で、5月29日の状況を200号の大作に仕上げた。まさに戦意高揚である。藤田の過去を知らない藤田ファンが多いが、彼はこの絵を書き上げることで玉砕戦だから鬼畜米英と思い書き上げたようである。藤田嗣治の時流に便乗しつつ終始一流芸術家であったことの評価と戦略的価値のなかったアッツ島がなぜ再占領され、なぜ最初の玉砕地になったかを問う著である。

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