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アメリカの相続税・遺産税の最新情報

2017年08月01日

日本の相続税は国税のみであるが、アメリカの場合は連邦税(国税)と州税(地方税)がある。連邦税の場合での基礎控除は549万ドル(6億円)、夫婦合算で1098万ドル(12億円)なので相続税がかかる家庭は少ない。日本での基礎控除は標準世帯で4800万円なのに比べて、違い過ぎる感がある。しかし、日本ではない相続税の地方税、アメリカでは相続税の州税がある州がある。そのため、相続税の州税がある州から、相続税回避のため、他州へと移る者が多くある。その防止のため州の相続税の基礎控除を大きくしたり、場合によっては廃止したりする州もある。

 

現在、アメリカで州が課税する相続税がある州は15州ある。コネチカット、ワシントンDC、デラウェア、ハワイ、イリノイ、メーン、メリーランド、マサチューセッツ、ミネソタ、ニュージャージー、ニューヨーク、オレゴン、ロードアイランド、バーモント、ワシントンである。ちなみに、これらの州の最高税率といえば、コネチカット州とメーン州が12%、ワシントン州が20%、残りの州は一律16%である。しかし、ミネソタ州は住民を引きとめるために、基礎控除を今年1月まで遡及して210万ドル(2億5千万円)に引上げ、来年度は240万ドルまでにするとしている。また、メリーランド州では基礎控除を300万ドル(3億3千万円)から400万ドル(4億4000万円)に引上げ、更にニュージャージー州では全米最低だった基礎控除67万5000ドル(7300万円)だったのを今年200万ドル(2億2000万円)まで引上げ、来年には相続税そのものを廃止するとしている。

 

マサチューセッツ州とオレゴン州の基礎控除は100万ドル(1億1000万円)と高くはないが、マサチューセッツ州では2016年度の相続税収入が4億ドル(440億円)にもなる一方、高い相続税故に、他州(特にフロリダ州やニューハンプシャー州)へ移住する富裕者が増えるのを恐れていて、基礎控除を225万ドル(2億5000万円)まで引上げたり、課税相続財産から居住用財産を除外することを検討し始めたようだ。しかし、オレゴン州では相続税逃れのため他州に移転する住民は少ないとして、州法は改正しない意向である。

 

ここでアメリカの相続税について整理しておく。日本の相続税法では、遺産(Estate)を取得する者に対して税が課せられる。一方、アメリカでは亡くなった者に相続税(Estate Tax)が課せられるが、州によっては日本のように遺産を取得した者に遺産税が課せられるInheritance Taxもある。この適用をする州は6州あり、先ほどの15州の他、アイオワ州(15%)、ケンタッキー州(16%)、メリーランド州(10%)、ネブラスカ州(18%)、ニュージャージー州(16%)、ペンシルベニア州(15%)(カッコ内は最高税率)とあるが、見てのとおり、相続税と遺産税両方を課す州が2州、メリーランド州とニュージャージー州である。

 

これらの州税は州によって大きく異なり、例えば遺産税を課すネブラスカ州では配偶者は非課税、親族には最高1%、親族以外には18%となる。ペンシルベニア州では、昨年9億6200万ドル(1100億円)の相続税収入があったが、税制改正で農業及び同族会社の承継については非課税となった。相続税と遺産税両方あるニュージャージー州とメリーランド州では、相続税の軽減はあるものの遺産税はそのまま、ちなみにニュージャージー州では遺産税は子や孫にはかからないが、親族以外の者が遺産を手にすると16%かかる。私のオフィスがあるロサンゼルス、カリフォルニア州では2005年に相続税が廃止された。このように住みやすい州にするため相続税はかなり軽減されている。

 

世界的にみてアメリカの相続税の収税を少なくしたり、国によっては相続税を無くしたりして富裕層を呼び戻す動きが盛んだが、逆に日本では増税されている。日本の富裕層にとってはますます、住みにくくなった国、日本である。

 

 

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これからの世の中は、IoTやAIの時代に突入する。ロボット工学の進化で、生身の人間が不要となりつつある分野が増えている。文字や音声、映像に対する情報処理は人間よりも優れている事象が多くなる。AIロボットの双方向コミュニケーションは、銀行に限定するわけではないが、アホな担当者と話すより楽しいかもしれない。
従来の権威や評価が崩壊するなかで、IoT等を上手く活用できる人材が求められていることは事実だが、何よりも重要なのはコミュニケーション能力であり、とりわけ金融の世界では、人との繋がりがこれまで以上に重視される。なぜなら、顧客の多くは人間だからであるとしている。

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