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外国企業誘致、シンガポール税制を見習うべき

日本は現在、法人税の実効税率35%を数年かけて29%以下にすると安倍首相が言っている(近隣諸国は皆25%以下だが)。さらに従業員の教育費や設備投資についても、かなりの減税措置を施した。そして雇用を増やした企業や、給与を増やした企業にはさらなる減税が待ち構えている。また投資促進税制として、ある機械や設備などを購入した際に、即時償却制度(100%償却)を拡大した。つまり何億円もする設備でも、買った瞬間に全額費用となる。儲かっている企業は節税対策のためにでも設備投資をしてくれというわけである。法人税を安くするには、設備投資と雇用というのが今の日本である。

 

しかし、企業誘致は全世界で広がっている。どの国も雇用の増大と投資拡大を狙っているからだ。シンガポールを例に挙げよう。この国は、誘致のための税制を創設した。生産性・技術革新控除税制(Productivity and Innovation Credit Scheme、以下PIC)である。このPICの大目玉は生産性や技術革新に寄与する費用については特定費用の400%の所得控除を認めるとしている。このPICの対象となる費用は、(1)ITや自動化装置、(2)従業員教育訓練、(3)知的財産権の取得、(4)特許権や商標権の取得、(5)研究開発、(6)新製品等の開発プロジェクト、の6つである。これらに該当すれば400%所得控除である。従業員教育訓練費などは労働力開発庁(Workforce Development Agency)または技術教育院(Institute of Technical Education)により認可を受ける必要があるが、受ければ社内教育費は400%、いわゆる費用の4倍もの経費算入ができる。

 

研究開発費にしても日本が20%とか何とか言っているが400%なのである。政府のタックスインセンティブも、これくらいのことをしないと世界は注目しない。なおも2013年から2015年ではPICの所得控除に加えて、支払った特定費用と同額の支給をボーナスとして受け取ることができるのである。このような措置があれば、何が何でもシンガポールに会社を設立しようとする意欲が湧く。小国で資源のない国がいかに、したたかに、リッチで暮らせるかの法体系を見るような気がする。

 

しかし、PICの適用を受けたが、適用要件を満たさず結局ダメだった場合には取り戻し課税(The Law-back provision)が発生し、貰った恩恵を全て返さなければならない。安易な期待も禁物である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
矢口祐人著 『奇妙なアメリカ』 新潮社 1200円+税
私はアメリカに馴染み過ぎているせいか、この本のように客観的に書かれると、なるほど、そうかと思える。アメリカの文化に象徴されるのはミュージアムであるとする。なるほどミュージアムは全米各地に多い。その数は2万。メジャーリーグ、アメフトにディズニーランドなどの有名遊園地の入場者を足して合計した人数は4億8000万人であり、ミュージアム来訪者はそれを遥かに凌ぐ、8億5000万人。
サンディエゴにある「創造と地球の歴史のミュージアム」はキリスト教原理主義が運営している。したがって聖書の創世記通りに誕生したとすると、ダーウィンの進化論を否定しなければならない。そうしたことを謳っている。「全米原子力実験ミュージアム」では核兵器開発を絶賛している。「犯罪と罰のミュージアム」はアメリカで起こった犯罪と犯罪者の情報が展示されている。アメリカは刑務所に収監されている人が世界一多く「刑務所大国」とも呼ばれている。これらがアメリカ文化だとする、おもしろい一冊でもある。

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