ウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、一世代前には存在しなかった職業につくアメリカ人が増えており、伝統ある職業でさえ変化している。リンクトインの発表によると2000年には存在しなかった職業にアメリカ人の5人に1人がついているという。それは肩書だけではない。建築士が設計図を描くわけではなく、オーケストレーションも楽器を扱っているわけでもない。英会話の先生もじかに英会話を生徒に促すわけでもない。それでは、こうした人たちはいったい何をしているのか、彼らはすべて、人工知能(AI)モデルを使った業務に携わっているのである。これらの人々は自分の仕事を説明してくれと頼まれても、どう説明すればよいかと、いら立つ。このような認識のずれは世代間の違いによるものだという。なじみのある肩書でも私たちの想定とは異なる仕事をしている場合も多々ある。WSJは最近、所得税の申告書を一度も作成したことがない会計士にインタビューした。その会計士は大学で会計学などの必要な学問の知識を身に着け、国家試験をパスし、会計事務所でも勤務した実績があり、現在会計事務所のCEO経営者である。彼が社会に出て出会ってきた多くの人は、彼が何をしているのか理解していない。家族に週末でも働かなければと言うと(実際確定申告シーズンの真っただ中)、あなたは税務とは何の関係もないのに、という反応である。彼の会社は税務申告を行っているが(当然である)トップの彼は仕事の初期でさえも申告書を作成したことがないと言う。その背景には彼のようなミレニアム世代の会計士は、技術の進歩によって専門分野が細分化され基本作業が自動化された結果であるという。特に会計・税務分野はAIにとってかわられやすい分野と思われている。すでに一部の企業ではAIが財務報告を作成している。彼の会社は依然として人が税務申告書を作成しているという。しかしAIが雑務をこなしているので彼の仕事が会計・税務というより、ほとんど営業活動に使える。会社の帳簿を細かく精査したり、決算や申告書を作ることが、今やアメリカの会計事務所の大きな部分を占めていないのである。
日本も税務調査先をAIが選別する時代に入った。私たちの申告書もすべてAIが精査するのは数年先になったのである。アメリカではIRS職員の大幅整理が行われている、現に2万人以上の税務職員がメキシコとの国境警備隊に銃を担いで転職させられているのである。会計事務所の事務員もそうだが、5万5000人の国税庁職員も今後考えないといけない時期がきたようである。
★ 推薦図書。
和田秀樹著 「80歳の壁を越えた人たち」 幻冬舎新書 960円+税
80歳、90歳を過ぎて驚くほど若く元気に活躍し続けている人たちのインタビュー本である。養老孟司氏、宮内義彦氏、草野仁氏、ちばてつや氏、奥村康氏など各界の著名人で80歳を超えてなお現役のレジェンドから、高齢者医療のカリスマ医師和田氏が、その極意を引き出す。「食事は肉か魚か」「医者にはかかるのか、かからないのか」「運動はやっているのか」「意欲を持ち続ける秘訣は?」などなど、実体験から生まれた習慣が書かれている。老後への不安から老後が幸せに満ちた黄金期に変わる。何もしていない高齢者には必読である。
