Bloombergによると、世界で最も富裕な世襲であるフレデリック・メドウス氏が長年住んでいた英国を離れ、母国であるベルギーに転居した。またエジプト出身の大富豪ナセル・サウィルス氏も英国を去った。さらに超富裕層といわれる人たちに、次々に英国を去る決心をさせたのは、非永住者向けの優遇税制であるノンドム(Non-Dom)の廃止である。これは英国に富裕者たちをよび込む手段であり、1799年に制定された歴史のある非永住者向けの優遇税制。この制度は5日に廃止された。英国には7万5000人のノンドムがおり、彼らは英国に収めていた税金は、何と年間80億ポンド(1兆5000億円)にも上っていた。
日本はというと個人の所得税等、相続税・贈与税の最高税率は55%となり、本人が稼いでも本人よりも国が持ってゆく方が多いという、まさに先進国ではありえない税率の高さである。英国のHenry & Partnersによると、2023年に税金が理由で母国を離れた高額資産保有者HNWI(High net worth individual)は世界全体で14万人、トップは英国からの流出が9500人で、過去最多だった中国を超えた。同紙は離脱先として相続税のないイタリア、ドバイが超人気、続いてオーストラリア、シンガポール、スイス、カナダなども安定した民主国家で移住先として人気があるという。英国はノンドム廃止により今後10年間で1110憶ポンド(20兆円)の税収を失うとしている。見出しに「Going Going Gone UK Non-Dom Exit Quiken After Tax Perk Ends」
一方日本はというと、年収2000万円を超える層は、わずか0.3%だが、彼らの保有する資産は年収よりはるかに高額である。サラリーマンを含め日本の富裕層は、一生かけて稼ぐ所得より、一回の相続で得る資産の方が何十倍、何百倍である。しかし日本では今後、資産課税が増えるのは避けられない情勢になってくるのは当然で、現に最近、富裕層では地主、中小企業オーナー、医師などで海外への関心を高めている人たちは急速に増えてきた。日本の富裕層もワールドワイドな観点で資産と暮らしを考え。次世代への幸福なバトンタッチを実行する者が増えてきている。海外資産移転の情報把握に日本の税務当局は追いついていないのである
★ 推薦図書。
柴田秀並著 「損保の闇 生保の裏」 朝日新書 900円+税
この本は保険業界のドキュメントである。かつて、わざと車をぶっ潰すビッグモーターへの忖度、カルテル疑惑、地獄の本業支援。この問題を喫期に損害保険会社では長年の膿が一気に噴出した。生命保険会社でも、レジェンド生保レディの不正に、公平性を装った代理店の手数料稼ぎなど、問題が相次ぎ表面化。向き合う金融庁はどう動いたのか、当局業界の暗闘の舞台裏など損保ジャパン、明治安田生命、三井住友海上、官僚などの実名を次々に掲げた、元朝日新聞記者の
ミステリー小説のようなドキュメンタリーである