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暴露されたパンドラ文書

数年前暴露されたパナマ文書に続き、今度はパンドラ文書なるものがWashington Postで記事になり、富裕層や政治家のオフショア(低税率国)での膨大な資金運用や、トラスト(信託)を利用した資産隠しが横行していることが明るみになった。富裕層専門の弁護士は、法に基づきトラストを作成し税法に従い税金も払っているわけで、脱税等の違法性は全くなく、批判されるのはおかしい、寧ろこのような事は暴露されるべきではないと述べている。ただ、前のパナマ文書と異なり、このパンドラ文書で明るみになったのは、ヨルダン、メキシコ、ケニア、エクアドル、ドミニカ共和国、チリ、スリランカ、ロシア等、国民が貧困で窮している国の政治家や王族が膨大なドル資産を海外に持ち出し運用をしていることである。
パンドラ文書によると、今回オフショアでのトラストを作成し資金を移転し運用している先は、相変わらずスイス、シンガポール、英国領バージン諸島だが、意外にもアメリカ合衆国・サウスダコタ州が挙げられていた。(しかし、知る人が知っていた有名な州である)この州には共和党のKristi Noem女性知事がいて、個人の自由の強烈な擁護者であり、コロナ下で、マスク強要の熱心な反対者としてアメリカでは有名だ。昨年のトランプ前大統領を4大統領の彫刻で有名なマウントラッシュモア国立記念公園に招き、マスクなしで選挙集会を開き避難を浴びたのもまだ記憶に新しい。この州はブラックヒルズと呼ばれるインディアンの聖地があり、白人との激しい抗争を繰り広げた場所としても、ど有名で、今ではインディアンの保護区があるが、貧困層が多いことでも有名である。
このような決して豊かではない州で、1979年に伝説の知事とよばれているWild Bill Janklowが豊かになるためには、サウスダコタ州に金を集めばければいけないと、様々な手段に出るのである。まず、トラストは通常期限がつき、トラスト資産は一定の期限を経て受益者に分配する必要があるが、この州では、何と、永遠にトラストで資産を保有できるようにした。更に厳格な秘密主義を誇り、トラストを設立したとしても、その存在は永遠に公にされることはなく、サウスダコタ州でトラストが設立されていることは、IRSでもわからなくした。更に州税、遺産税、キャピタルゲイン税は一切なく、富裕層にしてみれば、まさに、よだれが出るようである。
米国はオバマ政権下、2008年スイスをはじめとしたタックスヘイブンに対して徹底的に租税回避行為を取り締まった。これ以降各国はお互いの非居住者の口座情報を交換するシステムcrsを構築したが、肝心のアメリカ合衆国はこのシステムには参加していない。アメリカはアメリカ人のアメリカ国外の口座には非常に興味はあるがが、自国の非居住者のトラストや口座の資産運用には興味はない。それどころか、アメリカに送金して投資してくれる外国人はありがたいと思っている始末である。これによりサウスダコタ州はタックスヘイブン化していると言われている。最近ではサウスダコタ州の真似をして、アラスカ州、デラウエア州、ネバダ州が同様のタックスヘイブン的な法律を作っている。
1960年代からアメリカでは富裕層がアメリカ国外のトラストを利用し資金を運用して節税を図る、納税を最小化する行為は横行していたが、ケネディが大統領になった際、一家の資産がオフショアで派手に運用をしていたことが発覚し、規制が厳しくなったという経緯がある。確かに、私服を肥やした政治家、王族が資産を隠す為に海外のトラストを利用しているかもしれないが、一方で、政治が不安定な地域の富裕層が自分たちの財産が政府や犯罪組織から強奪される恐れもあるのでサウスダコタ州でトラストを、自分たちの財産を保護目的で利用していることも事実である。平和な国、日本では考えられないが・・・

☆ 推薦図書。
百田尚樹著 「アホか。」 新潮社 720円+税
退屈しのぎに読めば面白い、しかも現代の社会の見方も参考になる。お偉い先生がた、特に野党の国会議員の未熟さ、アホさは全国民同感であろう。「アホちゃうか」「アホ丸出し」の記者会見も少なくない。官僚や公務員の痴漢行為や迷惑行動。
動物の行動はすべて自然の原理と本能に忠実で、その行動の理由も説明がつくのに対して、人間のアホ行為には、同じ人類でも理解できないものがある。だからこそ人間は面白いと言えるが・・
この本は著者のサイト「アホニュース」を編集したものであるが、新幹線車内で読める本である。

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