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トランプ大統領、みずからに恩赦か

アメリカのメディアではトランプ大統領が自分の子供たちや自分自身に対し恩赦を与えるのではないかと報道されている。現在までトランプ大統領は29の恩赦を与えているが、私に言わせれば、たったの29である。ちなみに、今まで最も少ない恩赦数はブッシュ大統領(父 )で74なので、その少なさが目立つ。歴代大統領の恩赦数だが、戦後ではオバマが212,G.W.ブッシュ(息子)189.クリントン396,レーガン393、カーター534、フォード382,ニクソン863,ジョンソン990,ケネディ472,アイゼンハワー1110.トルーマン1913、F.ルーズベルト2819となる。
これらの大統領による恩赦の中には、社会に波紋を広げるものも多くあった。例えばカーター大統領はベトナム戦争時に徴兵を拒んだ何万人もの反戦主義者たちに全員恩赦を与えると申し出た。当時ドラフトを拒んだ多くの若者はカナダに逃げていたが、母国に帰るよう促した。しかし、この行為は、特に保守層からは多くの反発を受けた。結局、多くの米国人はカナダに残ったのである、これはカーター大統領がベトナム戦争から国民の傷を癒したいという気持ちの表れだったが、アメリカ国民の支持が得られなかった。
また、フォード大統領は就任直後Watergate事件に関わるニクソン大統領の罪を一切恩赦するとした。しかし、これには多くの国民が司法に任せ、刑罰を受けるべきだとし、これもアメリカ国民の反感を買った。クリントン大統領はMarc Richを恩赦した。日本人にはなじみのない名だが、彼はクリントンの政治的なサポーターでもあり金銭的な後援者であったが、脱税および詐欺で1980年代からFBIに手配されており、一時は逃亡者指名手配リストの6番目でもあった。恩赦時にはスイスに逃亡していたが、その後、恩赦で米国に戻っている。これは21世紀最悪の恩赦であると今でもいわれている。
Wall Street Journalによると、1866年の最高裁の判決で、大統領の恩赦は弾劾された場合を除き無制限にできることになっている。つまりトランプ大統領は自分の子供たちにも恩赦できるということになるが、それでは自分自身に対してはどうか?これは1974年にニクソンが辞任をした際、司法省は誰も自分の罪に対して司法判断出来ないように、大統領が自分自身を恩赦することはできないと声明を出したのである。但し、今日この司法省の見解に対し異議を唱える学者も多く、実際起こってみないとわからないということになる。トランプ大統領は2018年ツイッターで「多くの学者が言っているように自分を恩赦出来る。しかし、何も悪いことをしていないのにどうして自分を恩赦する必要があるのか」といっている。
トランプ大統領にはTrump Organization に絡んだ脱税、保険詐欺、彼の元弁護士コーエン氏絡みの選挙資金の愛人の口止め料への流用、ロシア疑惑、7290万ドル(75億円)還付金詐欺等いろいろな捜査が進んでいる。将来の罪に対して恩赦を与えることができるのか?フォード大統領がニクソンに対して恩赦をしたように、恩赦の範囲は明確でなくてもよいようである。トランプ大統領が自分を恩赦して、21世紀最悪の恩赦を更新するのか注目したいところだが、根本的問題はトランプ大統領の家族が法に抵触する多くの事案に関係しており捜査の対象になっているという事だ。

☆ 推薦図書 ☆
斎藤幸平著 「人新世の『資本論』 集英社 1020円+税

久しぶりに経済学者マルクスの名がでた。資本主義のもと、経済成長を追い求める世界で、二酸化炭素の排出による地球温暖化が進み環境破壊が大問題となってきた。ノーベル賞受賞者のクルッツエンは地質学的に、この地球は新たな年代に入ったとし、この年代を「人新世」(ひとしんせい)と名付け、人間活動の痕跡が、地球の表面を覆いつくした年代。と定義した。先進国の大量生産・大量消費の豊かな社会は、途上国の労働力や自然など享受する側に見えない「外部」に負担を転嫁することで成り立っている。しかし、外部を使いつくすと、今までのやり方では通用しなくなる、これが人新世の危機の本質である。地球環境を守る新たな経済システムとして経済成長に依存しない脱成長が重要で、マルクスが言った「平等」で「持続可能」な経済成長を目指す資本主義でなければならない。

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