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世界の富裕層が集まる国、アメリカ

今、地球規模で超富裕層が増加している。リーマン・ショック時はさすがに落ちたが、それ以後は全世界規模で富裕層は膨張し続けているという。Boston Consulting Group社がこのほど発表したところによると、約1,800万世帯が100万ドル(1億1,000万円)以上の富を持ち、これらの富裕層は全世界の人口の1%にあたるという。この1%の富裕層が全世界の富、166兆ドル(18,000兆円)の何と45%を占めていて、あと数年で50%を超えると予想している。

 

全世界に格差が広がってきている。日本での格差は世界的に見て「格差」ではなく、こんな貧富の差が少ない国は先進国ではない。

 

アメリカは加速度的に格差が広がりつつある。第2次世界大戦後10年を経て、過去35年間で収入がトップ1%の割合が倍になった。過去でこれに拍車をかけたのが1980年代のレーガン大統領である。レーガノミクスにより高所得者の税率が低くなり、労働組合の組織率が下がり、ニューヨークダウが上昇し、富裕層は多大な恩恵を受けた。このような政策の結果、アメリカでは63%の個人資産はビリオネアーの手に渡ったとされ、Boston Consulting Group社によれば2012年までに、それが70%に到達すると予測している。]

 

それでは、このような富裕層の財産はどのように築かれたのか?これは国によって違いがあるが、世界的に新しい財産(富)の約50%が既存の金融資産による株式債券の値上がりによるもので、富裕層の多くはトランプのように生まれたときから金持ちであったことがわかる。残りの50%は自ら起業して稼いで富を築いた人たちである。しかし、アメリカでは自分で稼いで富を成した人の割合は28%しかいなく、72%の富裕層は「お金持ちの子」として生まれている。しかし、日本の富裕層は更に低く、自分で稼いだ金持ちはたったの21%しかいない。日本の富裕者の8割は親からの財産譲り受けなのだ。日本を除くアジアの富裕層はなんと67%が自分で稼いだ金持ちである。

 

アメリカではトランプ大統領になり、富裕層に変化が見え始めている。規制の撤廃及び減税である。ついに下院を通過したThe American Health Care Actはオバマケアを撤回し、それに代わろうとするもので、健康保険加入義務付けを撤廃し、富裕層トップ1%に課税された税をなくすというものだ。ただ上院では現在モメていて、すんなり法案が通るかどうか予断ができない。

 

富裕層の多くはアメリカに住んでいる。世界の富裕層の5人に2人はアメリカ在住である。Boston社によれば、現在700万人が100万ドル以上の資産を持つとされていて、2021年には、その数1,040万人まで増加すると予想されている。毎年8%の上昇率で毎年新たに67万人の富裕層が誕生するという計算である。全世界で5.7%しか100万ドル以上の資産を持たないのに、アメリカにおいて、これだけの超富裕層がいるというのは異常である。富裕層の密度からいうと、アメリカ以上なのは、バーレーン、リヒテンシュタイン、スイスという小国だけである。

 

中国も210万人の富裕層がいるが、密度から言うと低い。アメリカは、税制面からも、ますます富裕層が住みやすい環境になってきている。反面、貧困層にとっては、ますますセイフティネットが小さくなり、住みにくい国になることが確実である。逆に日本は富裕層への課税が強化され、生活保護家庭が増加し、先進国では貧困層の居心地がますますよくなっている、といわれている。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
野村克也著 『負けを生かす極意』 SB新書 800円+税
元プロ野球選手で、これだけの著作数を残しているのは、野村氏をおいて他にない。野球は体ではなく頭でするものである。スーパースターながら、テスト生で南海ホークスに入団した苦労人ならではの著である。彼の著作は一般のビジネス社会でも充分通ずるものがあり、参考になるとしてファンが多いと思われる。
この著は「負けること、すなわち、考えること」。厳しいプロ野球の世界で「負け」は忌避されがちなテーマであり、多くは語られない。だが、「負けることで学ぶことの大きさを知る」を流儀としてきた著者は、実は監督として1563敗し、歴代一位の負け数である。「負け」を次につなげてきたことを証明している。負けをどう生かすかについて、著者は野球ファンばかりではなく、国際競争力の低下、リストラなどの最近の「負け」志向で閉塞感漂うビジネスパーソンに、明日の勝利につなげる流儀を書いている。この著は、以前から著者が言っている「負けに不思議の負けなし」である。

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