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オバマ政権、脱税者のオフショア開示に真剣

以前のブログで、IRSがオフショア口座開示には現在二つのプログラムがあり、ひとつは故意に隠蔽した場合や既にIRSのブラックリストに載せている銀行に口座がある場合にOffshore Voluntary Disclosure Program (“OVDP”) を利用し、故意でない場合には、Stream Filing Compliance Procedure (“SFCP”) を利用出来るということを説明した。

 

今回はこのSFCPにつき少し補足する。このプログラムでは自動的にその場でIRSからの調査の対象にはならないが、無作為の調査の対象にはなる。つまり調査結果によっては民事罰、更には刑事罰の対象になるということもあり得る。OVDPでは刑事罰からは免除される(刑務所に行かなくてもいい)。調査された場合は申告書及び関連するオフショア書類の内容に間違いがないか、銀行及びファイナンシャルアドバイザーにIRSは確認を取る。更に、OVDPではなく SFCPを選んだ納税者に対し、どうしてオフショア口座の開示が行われなかったのかにつきその理由をIRSは細かく問いただすことになる。

 

ここで言う「意図的ではないと認証する」という意味が英語ではnon-willful certificationと言いうが、due to mere negligence, inadvertence, mistake or conduct that is the result of a good faith misunderstanding of the requirement of the law.の意味となる。つまり、不注意、間違い、悪意のない誤解をした結果による行為と解されるが、このことをよくよく理解した上で”Certify”しないといけない。もし、意図的であると認定された場合には、偽証罪の罪に問われる。問題なのは、納税者が意図的でないと表明してもIRSが同意するかである。IRSの言う、意図的という言葉は裁判所で使用される意図的の基準と同じだと言っているが、実際今後もそうであるかどうか不透明。

 

意図的という意味は、英語ではDue to voluntary and intentional violation of a known duty である。つまり、自分の義務を知っていながら自発的に意図的に違反を犯したと解されるが、具体的に次のようなことを考慮したほうがよいと思われる。
1.Source of Fund(オフショア口座にある資金が税引前の収入か遺産によるものか)
2.The extent of account activity(どこの金融機関からどこの金融機関へ資金移動されたかにより資金隠蔽の意図がわかる)
3.The tax payer’s degree of financial and business sophistication and education(納税者がどれだけ金融及びビジネスにつき長けているか、また教育を受けているか)
4.Whether the account was previously disclosed to the return preparer or others(そのオフショア口座が過去の税務申告作成者に開示されているかどうか)
5.Whether a non-US passport was used to open the account(米国以外のパスポートを使いその口座を開設しているかどうか)
6.Whether the tax payer made a conscious effort to avoid reporting requirements(納税者が常に報告義務を回避するような努力を意識的に行っているか?-法律に対し故意に目をつぶる行為(Willful Blindness)にあたる)
7.Whether a tax payer made in-person visits and/or communicated in code(納税者本人が金融機関を訪問したかもしくは何らかの暗号等を使用してコミュニケーションを図ったか)
8.Whether the tax payer instructed the financial institution to not to send account statements(納税者が金融機関に対しステートメントを送らないよう指示したかどうか)

 

IRSは、意図的でないという認証をしたステータスの案件をひとつひとつレビューし、時にはインタビューを要請することもある。現状ではこの認証が受け入れられるという保証のあるパターンは全くない。従って、意図的でないということに自信のない納税者は大きなリスクを負うことになる。

 

もしIRSによる意図的であることが否認された場合、Examinationが開始され、ひとたびIRSが意図的であること、過去に違反があると判断した場合、全てのオフショア資産及び過去の違反を開示しなければならない。更にはこの場合には最高にペナルティ及び刑事罰(つまり収監)を覚悟する必要が出てくる。この認証をするということはよくよく考えて行う必要があり、簡単に考えてSFCPを利用して終わらせようとすると大変なことになる。日本では考えられない刑務所行きになるということである。日本では海外を利用した脱税が近年急増しているが、アメリカ並みの罰則を考えないと対処できない時代になったことを国税庁も自覚しないといけなくなったようだ。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
佐藤悌二郎/青木仁志 共著 『松下幸之助に学ぶ希望の哲学』 アチーブメント出版 1500円+税
佐藤氏はPHP研究所専務取締役、青木氏は人材教育№1のアチーブメントの社長。両氏とも私は親しい関係にある。
青木氏は17歳のとき上京し、溶接見習工として出発、苦難を耐え忍んで60歳の今日まできた叩き上げの成功者である。彼が人生の指針として尊敬してきたのが、松下幸之助。その松下幸之助研究の第一人者が佐藤氏で、両人の対談集である。
青木氏が成功した原点は、社員のおかげ、お客様のおかげ、社会のおかげ、そして希望を与えてくれた松下幸之助としている。
幸之助自身、成功した原因は3つあって、1に貧しい家庭で育ったこと。2に健康な体でなかったこと。3に学歴がなかったこととしているが、青木氏は幸之助にあって自分になかったのは健康な体だとしているのが笑いである。佐藤氏は青木氏こそが幸之助の伝承者であり、理念経営を標榜し高い志を持った経営者は他にないと結んでいる。経営者のみならず働く人すべてに心を打たせる本である。

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