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国税庁の調査、海外関係は過去最高

税庁はこのほど、個人の所得税等の1年間の調査実績をまとめた資料を発表した。それによると実地調査は6万7774件で前年度より6130件増加した。際立つのは、国外資産にかかる無申告や租税回避に対する実地調査である。海外取引を行っている人に対する実地調査が前年比22%増となる3322件も行われた。その調査の結果、申告漏れ所得金額は1件あたり約2000万円、これは所得税調査の通常の申告漏れの2.2倍である。

 

富裕層の国外財産については、OECDやG20が進めるBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの主導での方針と並行進行で課税強化が押し寄せている。特に日本では、出国税や国外財産調書などが次々と放たれている。しかし国税庁でも問題なのは、その実地調査に割ける人員に限りがあることだ。つまり人手不足ということになっている。

 

そこで国税庁は、いちいち職員を派遣しないで済ます。つまり、文書や電話などによる調査、国税当局用語でいう「簡単な接触」を多用することで、人員の時間を節約しようとした。一昨年度は83万7千件の「簡単な接触」が行われたが、昨年は67万2千件と減少した。文書ではなく、実際に税務署職員が調査に行く件数が増加したのだ。文書による「お尋ね」は回答がいい加減なのも多いが、記載にウソが多いのが現実である。文書回答などを期待する方がバカである。

 

つい最近も、食料品輸入業者の代表者個人口座に数億円の入金がシンガポールからあったが、国外財産調書では、この金額はシンガポール人からの借入金だと記載していた。しかし国税当局がシンガポールに問い合わせたところ、これはバックマージンだと判明した。著者は常に警告しているが、香港、シンガポール、マレーシアなどアジア諸国は、日本との関係良好を願うので、日本の当局からの問い合わせに、すぐに答える。昔と違うのである。その点、欧米、特に中国を横目に見ながら、堂々と南シナ海を軍艦に航行させる、自国に不利益なものは排他する国、アメリカからの情報収集の壁は高いと思われる。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
百田尚樹著 『幸福な生活』 祥伝社文庫 648円+税
新幹線の新大阪駅で「のぞみ」に乗車する直前に買った本である。短編ばかりが集められているが、さすが百田氏の本である。仕事を離れて楽しめる。
「ご主人の欠点は浮気性」。帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?二人の関係はバレたのか?動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗みキスを迫る。そしてボディタッチ。彼女の目的は何か?平穏な結婚生活を脅かす危機。主人公は34歳のサラリーマン。その他、ドキッとするような夫婦関係、愛する人の秘密を描く傑作集である。人生為になる。

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