先日の中間選挙で予想以上に民主党が大勝利し、共和党は大敗した。ウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、民主党が両院を制したことで、高所得者には辛い税制になることが予想される。2028年に民主党政権が出来ればだが、所得税率の最高税率の引き上げを行う。そして相続税・贈与税の基礎控除額が引き下げられる他、未実現利益や死亡時のキャピタルゲイン税を見直す。キャピタルゲイン税だが、日本では、遺産として相続人は土地や株式を相続して、後にそれらを売却した場合の譲渡益の計算は、取得原価は被相続人(親)が購入した取得価額を引き継ぐので、売却益が多く出る。アメリカでは被相続人が亡くなった時点の価額で相続人が取得したものとみなして譲渡所得を計算するので、不動産などは、亡くなった年に売却すれば譲渡益がゼロである。この法は、民主党はおかしいとして見直すということである。さらに年間19,000ドル(300万円)までの贈与はカウントしないでよい、両親がいれば38,000ドル(600万円)までは申告不必要であるが、これも改める。そして、相続税の基礎控除、日本では標準所帯で4800万円だが、アメリカでは1500万ドル(24億円)である。この基礎控除はインフレ率に連動するので2027年には1550万ドル(25億円)になるので、この基礎控除を何とか下げたいのはバイデンもそうであった。これもまた日本では無い制度だが、アメリカではキャピタルゲイン税を回避する税制がある。これはアメリカ連邦税法・内国歳入法第351条に規定されている税法で、投資家が株式を購入して儲かっている場合、売れば税金が発生する。当たり前だが、このセクション351はその株式や証券などの資産を新たに設立したETF(Exchange traded Fund)に移転させた場合、キャピタルゲイン税を回避でき、繰り延べることが出来るというもの、この351の非課税変換を通じて管理口座(SMA)資産をETFに変換することで税逃れをすることを阻止するとしている。
次にLong-short tax-aware investment strategy(ロングショートの投資税制?・・翻訳不足ですみません)に手を付けると言っている。この制度も日本には無い節税方法だが、例えば株式で損を出したとすると、通常確定申告で株式譲渡益と通算しキャピタルゲイン税を計算するが、アメリカでは損失を出した証券と実質的に同一の証券を購入した場合は、その損失は認められず、代替証券の取得価格に算入するのであるが、現実は同一の証券ではなく似たような証券を購入することによってこの規定を運用し、これを世帯口座で調整することで回避してするのが常套手段であるが、これも問題視している。さらにGRART(Grantor Retained Annuity Trust)と呼ばれる委託者留保年金信託がある。これは連邦税法・内国歳入法第2702条に規定されている信託である。この仕組みを長たらしく解説するのは省くが、用は信託した財産が、IRSが公表する低い利率よりも速く運用成長すれば、その超過成長分は生涯の遺産税非課税枠(現在は1500万ドル)を全く使うことなく、贈与税ゼロで相続人に贈与されるというもので、最近、超富裕の間で人気が出ている。これについては、中間選挙で共和党が負けたにせよ、トランプ大統領がいる間は税法に変化はないと富裕層は楽観しているが、2年後に民主党の大統領が出現した場合に備えて、急に税のコンサルタントが忙しくなったようである。まだまだあるが、もともと共和党は相続税など無くした方が良いという主張である。一方民主党は富裕層課税を叫んでいるが、実際のところ実行したことがない。オバマ政権もバイデン大統領もほとんどノータッチだ。富裕層はますます富裕者になる。アメリカを見ていると、日本での格差社会は存在しないと感じる。今回の民主党議員たちの公約はどれほどまで実現するのだろうか?富裕層重税は、もともとアメリカ市民は期待していないかもしれない。
★ 推薦図書。
野澤千絵著 「マンション高騰の真実」都市部の非居住化が街を壊す。 中央新書ラクレ 1056円
最近の報道でも新築の値上がり、中古の値上がり、賃貸家賃の値上がりが騒がれている。東京23区の新築分譲マンションの平均価格は1億5000万円を超えた。原因は「住まない買い手」である。最近の都心の新築マンションの購入者の65%は「非居住の個人」と「法人」であった。その「法人」もほとんどが事業実態のないものである。非居住者所有の増加の影響は、地域の住宅購入に占める投資目的の割合が10%増加すると、住宅価格が26.5%上昇し、平均的家賃が6.7%上昇するという研究結果が出ている。参考になるのは、その防止策で、スペインのバルセロナでは居住するための住宅供給をするために「観光民泊の禁止」「家賃上限の設定」「空室税の導入」などの法を制定している。日本も考えなくてはならない時期に来ている。
