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アメリカの相続税(遺産税)の今

アメリカからの帰途である。ワールドカップ開催中であるがLAでは、全く盛り上がっていない、そもそもサッカーになじみのない国である。日本の報道とは程遠い。

ベンジャミン・フランクリンが「人生において、死と税金を除いては何も確かなものはない」と名言を残している。しかし、アメリカでの相続税については、連邦税法上は1人につき1500万ドル、夫婦で3000万ドル(48億円)までの基礎控除があるので、殆どの人が相続税を払わずに済んでいる。アメリカでは日本と違い、相続税は被相続人が払うことになるので、厳密に言えば、相続税ではなく遺産税を払っていないことになる。2023年度では7100件の遺産税申告書が提出されており、実際課税が発生しているのは、4000件である。2022年度は280万人死亡しているので、申告率は0.25%、課税申告率は0.14%という低さである。Forbesによれば、これでアメリカでは遺産税は発生しないというのは大きな誤りであるとしている。というのは州税である。連邦税ではかからないが、州によっては遺産税の基礎控除が連邦税よりも低い、もしくは、相続人に課税される相続税のある州もあるからである。
アメリカでは12州及びワシントンDCに遺産税がある。これらの州は以下の通リで、括弧内は基礎控除と税率となる。コネチカット州(15百万ドル、一律12%)、ワシントンDC(4.99百万ドル、11.2-16%)、ハワイ州(5.49百万ドル、10-20%)、イリノイ州(4百万ドル、0.8 -16%)、メイン州(7.16百万ドル、8-12%)、メリーランド州(5百万ドル。0.8-16%)、マサチューセッツ州(2百万ドル、0.8-16%)、ミネソタ州(3百万ドル、13-16%)、ニューヨーク州(7.35百万ドル、3.06-16%)、オレゴン州(1百万ドル、10-16%)、ロードアイランド州(1.84百万ドル、0.8-16%)、バーモント州(5百万ドル、一律16%)、ワシントン州(3.067百万ドル、10-35%但し、2026年7月1日より3.0百万ドル、10-20%)
一方相続税のある州は、5州あり、ケンタッキー州は4-16%、メリーランド州は一律10%、ネブラスカ州は1-15%、ニュージャージー州は11-16%、ペンシルベニア州が4.5-15%となる。但し、配偶者や直系の家族には適用されない場合も多い一方、婿、嫁、いとこ、甥、姪、もしくは結婚していないパートナーには適用されないこともあり注意が必要だ。特にメリーランド州は遺産税と相続税の2重課税となるので、この州で死ぬことは望ましくないと言われている。
また、遺産税や相続税は無いが、被相続人死亡後、相続人を法的に確定させる検認作業(プロベートと呼ぶ。)の必要な州は5州あり、これは、アーカンソー州、ミズーリ州、ワイオミング州、カリフォリニア州、フロリダ州である。これらの州では遺産税や相続税はないが、州により、かなり重いフィーを裁判所や弁護士に支払いことになり、時間もかかる為、隠れた遺産税と言える。特にこれらのフィーはネットではなく、グロスの資産にかかる為、モーゲージ等借金のある場合には、大きなフィー負担となります。勿論トラスト作成等によりプロベートを避ける方法もあるが、各州により制度が違う為、専門の弁護士に相談する必要が出てくる。
遺産税・相続対策として贈与により財産を減らすという方法もある。2026年度アメリカでは贈与人一人につき19000ドル、夫婦であれば38000ドル(600万円)まで1500万ドル(夫婦で3000万ドル)の遺産・贈与税の基礎控除の枠外で贈与が出来る。州には贈与税はないので有効な手段と思われるので活発に行われている。但し、連邦税法上は死亡3年前(日本は7年前)までの贈与は被相続人の相続財産に戻され、またこの年数も州により異なるので注意が必要である。日本は160万人亡くなり16万の被相続人に課税された。アメリカの4000人に課税されたとはケタが違う。州税は10%内外だが、日本の相続税は最高55%である。日本国外に脱出する者があとを絶たないのもわかる気がする。

★ 推薦図書。
池井戸潤著 「かばん屋の相続」 文春文庫 720円+税
人気作家の小説であるが、銀行という金融社会の構造と、相続という民法がわかる書である。小説は「松田かばん」のオーナー経営者が急逝した。残された二人の兄弟。会社の後継者としていた二男に生前「相続を放棄しろ」と語り。遺言には、会社の全株を、親の会社を継がず、大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する二男。父の本当の想いがどこなのか。勉強になる本である。

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