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相続税は「富の再分配」か?富裕層課税を巡るカリフォルニア州の騒動

今回のブログでは、本日アメリカ建国250年の独立記念日7月4日(日本時間5日)に因み、すこしアメリカ憲法の話も織り交ぜた。以前から、このブログで、カリフォルニア州では10億ドル(1600億円)以上財産を持っている者から、一度限りであるが、その財産に5%の税金をかけるという法律が、今、州議会で論議を呼んでいる。民主党のカリフォルニア州知事はアメリカ合衆国建国250年にあたっての演説で「アメリカ合衆国憲法と建国の父たちが、すべての富の分配を重視している」と主張、」さらに「アメリカ建国の父たちは、少数の手の者たちに権力が集中しないよう国家を構築したのだが、それが崩れかけている」と暗に共和党・トランプ大統領を非難した。
ウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、建国の父と言われるjames Madisonの民主主義は「富の集中」を避けるためではなく「権力の集中」を避けるための制度を設計したのである。建国の父たちは、資本主義と自由市場を重要視した。250年前の今日、アメリカ独立宣言日だけでなく、建国の父たちが受け入れた、Adam Smithの「The Weals of Nations」(国富論)の出版日でもある。ちなみに、建国の父たちはかなり裕福で、父たちの中には「革命の金融家」と言われ億万長者の銀行家であるRobert Morris Jrもいる。建国の父たちは財産を有する権利を信じていた。その権利は政府からではなく、神から与えられたものであると。Madisonは国からの財産没収を守るために、憲法に保護策を起草し、政府が没収した財産に対しての保証を求める第5修正条項の所得条項(Takings Clause of the Fifth Amendment)を付け加えた。このため憲法は富裕税(Wealth Tax)ではなく所得税(Income Tax)に改められた。この憲法制度では富裕税を認めないどころか、富裕税は違憲としたのである。
今年11月の富裕層課税を巡る騒ぎで、カリフォルニア州は、それから逃れるビリオネアや富裕層の脱出により、数兆ドルを失ったと報道されている。この富の流失は赤字に苦しんでいる州にとって破滅を意味するのではないか、単なる富裕層は税金を逃れるためにテキサスやフロリダ州に移住をすることは出来ないが、ビリオネアはそれが出来、実際にそうしている。しかし、ほとんどの市民は、アメリカでも最高水準の税金と生活費の高さが重なる州から脱出できない。労働組合等はカリフォルニア州の予算削減を掲げ、年金基金問題から、鉄道建設など州の無駄遣いを阻止するため、ビリオネアの力を借りようとしたが、逆に脱出の憂き目にあった。しかし逃げ出したビリオネアから富裕税を課し、取り戻そうとしている。SandersやWarren上院議員などはビリオネアが税金から免れるためには、国外に脱出する以外にないと言い、Warrenが大統領選に出馬した時は富裕層に「連邦政府は、あなたたちのRembrandts(絵)、株、ダイヤモンド、ヨットを狙う」とまで公言したのである。しかし、この考えは危険であり、これら民主党議員の考えは、富裕層を、IRSの狩猟対象に過ぎなくしている。この考え方はまさしく、数十年前のフランス社会主義者の考え方であり、当時フランスは富裕者の国外への脱出が後を絶たず、経済破綻寸前まで、脱出がフランスでは続いた歴史がある。カリフォルニア州の富裕層課税の問題は今や全米を巻き込んでいる。WSJは建国の父Madisonの考えかたと、カリフォルニア州富裕層課税のあり方を250年の時を経て示唆している。このWSJの記事を見て思い出すのは30年ほど前の日本の国会、当時大蔵大臣であった渡辺美智雄氏が富裕層課税で野党の質問に答えて「金持ちを粗末に扱う国は、やがて亡びる」と。けだし名言である。日本もこの前、今年度の路線価が公表された。まさに大幅上昇である。日本人も国外脱出を考えている者は少なくない。ところが、日本の税法と言葉の壁に妨げられて、国外脱出はアメリカほど容易ではないが、しかし不可能ではない。チャレンジブルな者が出てきそうである。

★ 推薦図書。
坂出健著 「贅沢と欲望の経営史」(あなたはなぜ今日もスタバに行ってしまうのか) 光文社新書 1100円
中世ヨーロッパでは、贅沢は魂を堕落させるものとして非難された。しかし哲学者ヒュームは芸術と精神の洗練という意味から贅沢を肯定的にみなしたので、贅沢への欲求が始まった。当時香辛料は一番の贅沢品だった。それがスパイスだけではなく、お金持ちのシンボルとしても価値を持ったのである。次に現れた贅沢品がコーヒー。次第に大衆化したコーヒーに代わって、現代では単なる飲むのではなく、「人と人のつながり」を提供する場所として、カフェ文化の欲望・普及としてのスタバが栄えた。それらの集大成として、贅沢をする欲望を巧みに利用しているのがGAFAである。アマゾンは多くの選択肢を持ちたい。すぐに手に入れたいという欲望を叶える。アップルもしかり、個人の欲しいものを先回りして提供する。いまやその先導はAIが担いつつある。と言われる。

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