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12月18日のアメリカ大統領令

トランプ大統領は12月18日にいくつかの大統領令に署名している。一番唐突なのは、クリスマス25日前後の24日及び26日を連邦の休日とするものである。これにより連邦職員は休日を挟み24日から28日まで、何と5日間の休みとなる(日本のように年末年始の休みなどアメリカには無い)。
だからと言って、全ての連邦職員が5日間の休みとなるわけではない。郵便局は25日には休みとなるが、24日及び26日に郵便は配達される。Social Security Officeは、ウエブサイトによれば24日、25日はお休みとなるが、26日は午前9時から午後1時まで開くようである。IRS及びTax Courtはウエブサイト上には明確になっていないが、24日から26日までお休みのようである。この大統領令は2025年のみ有効なので、今後継続するには、議会での承認が必要となる。しかしトランプ大統領は日頃から連邦職員は休日が多すぎると言っているので、恐らく継続することはないであろう。
次に出した大統領令は、医療用大麻の研究を促進させるというものである。Forbesによれば、この大統領令により、連邦法上の大麻のカテゴリーをSchedule III の薬物から Schedule I の薬物に変更するというものだ。州によっては大麻が合法化されているが、連邦法上、大麻の使用は犯罪となる。これは今回の大統領によっても犯罪であることに変わりはない。また、大麻を扱う会社は株式市場での上場は出来ない。それではトランプ政権の薬物のカテゴリー変更は、何が目的なのか、実は、この変更による大きな影響を受けるのは税金である。税法上Schedule I の薬物を取り扱う会社はいかなる経費も控除出来ないとある。通常1百万ドル売上があり、経費が80万ドルの経費があれば課税所得は20万ドル、これに連邦税率21%だから、通常の会社であれば、法人税額は42,000ドルとなる。一方Schedule IIIを取り扱う会社の場合、同様の売上及び経費があったとしても、80万ドル控除できないので1百万ドルの21%課税され、税額は210,000ドルとなる。本来の課税額(利益)200,000ドルに対し210,000ドルの税金を払うことになるので、全くの赤字、倒産というところだろうか。
今後はこのような大麻医療の研究を行う会社は税法上、ビジネス上、大きなチャンスになるであろう。また、トランプのOne Big Beautiful Bill Act (OBBBA)の 税法改正によりR & Dを全額経費計上できる ことになったので、今後大麻の医療研究に対する投資が高まり、雇用が大きくの伸びると共に、大麻を利用した医療研究が発展する可能性が高くなりそうである。ユニコーンも出現するかもしれない。日本では考えられないが。

★ 推薦図書。
是川夕著 「ニッポンの移民」 筑摩書房 1012円
増え続ける外国人とどう向き合うか、高市内閣の施政方針演説でも問題になった、日本で増え続ける外国人に対する懸念が強まっている。背景には「静かな日本侵略」が進んでいるという危機意識、さらには犯罪や迷惑行為が目立ち、しかも日本の公的医療保険制度を狙って多数の外国人が移住してきているのも事実である。2024年末の外国人口377万人(3.0%)、2070年には939万人(10.8%)となる見込みである。先進国では外国人労働者を期限付き(使い捨て)で受け入れているが、日本は受け入れる際の要件が甘く、永住型の割合が多い。そのため世界的に見れば、日本は労働移民政策をとる国として位置づけられている。このような状況で日本のとる政策はアジア諸国の優秀な若者を受け入れ日本の成長につなげるとともに、公的年金制度や社会保障制度の発展につなげなくてはならない。

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