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ますます税金天国か、トランプ大統領の政策

アメリカ大統領は、アメリカ市民やアメリカ企業に対して差別的とみなされる税金を課す国とみなされる外国に対しては、徹底的に対抗措置を取ることを明言した。関税ばかりが日本のマスメディアが報じているがそうではない。こちらの方が具体化してきている。アメリカの下院(House of Representatives)は2025年度の予算調整法案OBBB(One Big Beautiful Bill)は共和党多数で可決成立したが、中身はというと、OECDのグローバルミニマム課税の軽課税ルールUTPR(Undertaxed Payment Rule)やデジタルサービス税DST(Digital Service Tax)はアメリカ企業に対する挑戦だとして、アメリカ歳入法(Internal Revenue Code)第899条(Section 899)を創設することにした。法案を見ると驚くのだが、法ではUTPR、DST、DPT(Diverted Profits Tax=イギリスの税法)をアメリカにとっての不公正外国税(Unfair foreign tax)と決めつけ、これらの税を導入した国、つまりアメリカに対して差別的外国の国民(居住者)とみなされ、これらの者に対して、外国法人の所得に係る税率を、アメリカにある資産から生じる利子・配当などの源泉徴収税を毎年5%ずつ引き上げ、20%になるまで追加するとしている。日本などと締結している租税条約で、それらが減免されている場合でも同様に5%から引き上げるとしている。さらにはアメリカ独特の税法BEAT(Base Eroosion and Anti-Abuse Tax)への課税強化、私は悪法であると思っているが、外国人がオーナーの会社には追加課税というものであるが、899条では差別的外国の会社が50%以上株式保有の会社に対しては、従来の課税に加え、さらに税率の引き上げ措置が講じられている。日本人、日本法人が所有するアメリカ企業に対しても対象となるのでトヨタやパナソニックも例外ではない。日本製鉄もどうするのだろうか。つまり今回のトランプの税制改正では、アメリカ人、アメリカ法人、アメリカに資産を持つ外国人やアメリカで収入ある外国人については、外国政府は税を課さずに、黙っていろと、さもなくば報復課税だと脅かしている、トランプ大統領の政策はわかりやすい、アメリカ人の雇用を守るのと、アメリカに投資をよび込むための措置ならば何でもするというわけである。自国の税金に怯える外国人はアメリカに信託を作って、そこにカネを移動させて運用せよと言っているようだ。信託はアメリカ人扱いだから。


☆ 推薦図書。
有吉佐和子著 「青い壺」 文春文庫 770円+税
私は女性小説家として昭和を代表するのは有吉佐和子と山崎豊子だと思っている。したがって両人の作品はすべて読んだつもりでいるが、最近この本が異常なまで売れているというので、購入した。もう50年近くになるので、すっかり初めて読む本になったが、やはり昭和も令和も人間心理への迫り方は、今の作家では足元にも及ばないと悟った。この本は全13話からなっていて、無名の陶芸家が生み出した美しい青磁の壺、それが売られたり盗まれたり10年後にその壺が陶芸家と再会するまでの物語である。特に2話が今の世情を端的に表わせていて思わず唸るような文である。この本は若い時に読んだ時も、老いた時に読んだ時も、それぞれ感動をもたらせる。

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