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トランプ政権下の軍事パレードと移民取り締まり騒ぎ

アメリカでは6月14日(日本時間15日)はFlag Dayと呼ばれ、1777年6月14日に現在のアメリカの国旗(星条旗)が制定されて以来、国民の休日ではないものの、アメリカ各地で祝い事の行事をしている。今年はトランプ大統領がFlag Dayに陸軍設立250周年記念として、ワシントンDCで軍事パレードを行うと宣言し、準備を進めてきたが、この日はトランプ氏の79歳の誕生日でもあり、まるで王様や独裁者のようだと批判されている。これまでの裁判所判決の無視、大規模な不法移民取締り、市民権の侵害、公共サービスの削減など反トランプ運動として「No Kings」抗議デモが全米2000以上の都市で計画されている。私のオフィスのあるロサンゼルスではICE (US Immigration and Custom Enforcement:米国移民・関税執行局)による強制捜査に反対する大規模なデモも計画されており、混乱が予想される。一方Proud Boysのような極右団体は、このNo Kingsのデモ隊からトランプを守るとして、全国2000都市以上で行われる抗議デモを力づくで阻止をするとSNSで呼びかけており、過激な行動に出るのではないかと懸念されている。
この軍事パレードだが、陸軍から6600人の兵隊が駆り出され、戦車等150台、軍事用ヘリコプター、戦闘機等50機が使用される。陸軍によれば、この軍事パレードには2450万ドル(35億円)の費用がかかるとされ、更にセキュリティ等に何百万ドルも予算をかけなければならない。現にテキサスから戦車が貨物列車で運ばれてきている。この重量級の戦車がConstitution Avenueをパレードするので、道路を保護する為に鉄板が敷かれるが、仮に道路がダメージを受けた場合、その補修費用は陸軍が負担するのだそうだ。また6600人も、軍人はバスや飛行機で集められ、6/11-6/15までの4日間ワシントンDCの連邦ビル内で折り畳み式簡易べッドで休息し、軍隊用のMeal Ready to Eat (MRE)と呼ばれるパッケージ化されたもので食事をとることになる。日当は1日69ドルだから、これだけでも180万ドル(2.5億円)かかる計算になる。また独立戦争時の戦闘服も復活させる(プロ野球並み)ということでかなり凝った軍事パレードとなるようだが、10人に6人のアメリカ人は税金の無駄遣いと答えており、共和党議員も反対派が多く出席を控える議員も多くいるという。
税金の無駄遣いと言えば、ペンタゴンの発表によれば今回のロサンゼルスへの州兵及び海兵隊の派遣費用は1億3400万ドル(200億円)と試算されている。トランプ氏は2か月常駐させると言っているが、相当な費用になると考えらる。トランプ氏は、不法移民はアメリカ市民ではない外国人だとし、外国人からの侵略からアメリカを奪い返すと言っているので、そのままICEとともに海兵隊員はアメリカ奪回作戦と称して不法移民を取り締まるのかもしれない。実際ICEは、不法移民が多く働いていそうな工場や会社、更には日雇い労働者の集まるHome Depot やCar Washを狙い、右から左へと不法移民を拘束し、そのまま強制退去させている。日本人でもアメリカをよく知る人は不法移民がいるような場所はわかる。今までであれば弁護士の接見や司法手続きを経てこのような国外退去が行われていたが、今回はそのようなプロセスは一切行わず不法移民を国外退去させている。
トランプ大統領は不法移民をアニマルとよび明らかに全ての不法移民を国外退去させるという意思が強く伺える。実際、殺人、強盗などを起こしているのも不法移民が多いことからアメリカ人はトランプのこの措置に賛同している者が多い。ロサンジェルスなどは不法移民の天国になっている感もある。しかし、このような事態を日本政府はよく考えなければいけない。今、日本が抱えるベトナム人、クルド人、等の移民問題は更に大きくなり、10年後には現在のアメリカで起こっている同じ問題が日本でも起こることは明白である。対岸の火事ではない。このような問題が大きくなる前に日本政府は不法移民問題に今からでも厳しく取り組む必要がある、残念なことに、国会議員の与野党も何の発言も、このアメリカの不法移民問題にない。コメと同じく問題が発生してから取り組むというスタンスでは思い知らされるのは国民である。平和ボケ国家日本ならではである

☆ 推薦図書。
松本俊彦著 「身近な薬物のはなし」 岩波書店 2640円
著者は有名な精神科医である。薬物として、たばこ、カフェイン、酒、くすりを取り上げている。なかでも、ビッグスリーと称されるのは「アルコール」「タバコ」「カフェイン」である。世にいう犯罪としての薬物「アヘン」「大麻」「コカイン」はビッグスリーほど深刻な問題をもたらしていないのに、日本では厳しく規制されている。著者はこれらを「リトルスリー」と呼ぶ。なかでもアルコールは肝臓、心臓、血管系などへの医学的障害という観点からすると最悪の薬物である。WHOによるとアルコールによる死亡率は結核や糖尿病より高く、しいては消化器疾患や心臓血管系疾患、がんによる死亡にも影響するのである。カフェイン。たばこの害も同じである。ビッグスリーは薬物であり、薬物は「よい薬物」も「わるい薬物」もない。リトルスリーよりも悪い薬物を放置している社会の責任である。依存症の強いビッグスリーを何とかしないといけない。と

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