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相続税の調査、AIで、今年7月から

アメリカでは考えられないが、日本では亡くなった人の1割が相続税の対象になる。アメリカでは年間数千人だけが対象になる、当たり前だが相続税の基礎控除、日本は原則4800万円だがアメリカは30億円である。日本の相続税は、今や富裕層だけの税金ではなくなっている。家1件あるか、生命保険5000万円掛けていると相続税の対象になる。そのため昨年1年間だけでも、なんと亡くなった人、16万人の相続人が相続税の課税対象となった。しかし税務署は相続税調査の対応をするには職員が少なすぎる。毎年毎年増え続ける被相続人の税務に対応できない事態であり、しかも相続税対策の普及もあって、どの被相続人の税務調査をおこなってよいか、正直、税務署はわかっていない。相続税申告書の提出が多すぎるのである。そのため国税庁は令和7年7月から日本全国の相続税の税務調査先において。人工知能AIが選定した「AI税務調査」を始めることになった。国税庁は「これにより、相続税の課税漏れを効率的に選定し、これまで以上の成果をあげる」としている。確かにこれまではベテランの税務職員が「これは臭い」と,感と経験で調査先を選定してきた。相続税の調査は法人税や所得税と異なり、毎年申告されるものではない、1回だけの申告で、税務署が一回脱税を逃せば、それで終わりである。それでは「AIによる調査」どのようにするのかといえば、まず国税庁は税務署から相続税申告書のデータをすべて集める。次に申告書データと被相続人と相続人の過去の申告漏れや、脱税の事績などを照らし合わせ。相続税申告書の一つ一つに、申告漏れの税務リスクが想定されるレベルとスコア付けをする。このスコアは0から1までの間に0.01以下の単位で細かく付けられる。そして各国税局、税務署はそのスコアに基づき、税務調査の要否、税務調査を行う場合でも、実地に家庭訪問して調査を行うのか、電話で聞き取りで済ませるのかを判断する。このスコア付けでの判断だが、現実に税務署は申告書を提出した件数の5から6%を調査しているにすぎないので、大多数の申告者は税務調査を免れている。それではスコアで調査先の選定でどのような申告書が数パーセントの調査先に選ばれるのであろうか。これはまず、過去に所得税などの脱税事案があったもの、確定申告に財産債務調書を添付するが、特に国外財産調書の添付がある先、また海外に財産を有していないとして国外財産調書提出していなかった者に、海外送金の事実があった者などが最重要事項としている。
確かに税務調査の対象になり得るが、問題は海外資産の場合、税務職員がどのようにして調査するのか、相手国が協力関係になければ、それはお手上げになるのではないか、トランプ大統領などは自国から日本人所有の財産が日本の国税局に持ってゆかれるようなことを許すわけがない。まもなく実施するAI調査、見ものである。

☆ 推薦図書。
梶谷懐/高口康太著 「ピークアウトする中国」 文藝春秋 1210円
中国経済の現状は明るいのか暗いのか、今叫ばれている中国の不動産危機はコロナ禍に具現した。発展が遅れていた内陸で住宅建設が進められたが、多くの住宅が空き家となった。また市街地では都市計画で、立ち退き世帯へ現金補償し、それを住宅購入費に充てさせ。その結果、新興デベロッパーが肥大化した。胡錦濤政権から続いたが、結果、不動産バブルは終焉した。一方、補助金などで国内のEV需要を拡大させ、それにより生じた消費ブームにより新興産業が成長した。高い貯蓄率と消費需要の伸び悩みよって生じた余剰資金は今、過剰投資を生んでいる。今の中国はこの過剰投資で持っているが、果たしていつまで持つのだろうか?としている。

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