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アメリカ税法の基礎控除額は、物価連動

最近、円安・原料高など物価上昇で生活費がかさんでいると日本の報道は伝えている。アメリカでも12月にはインフレ率が7%に達し、Federal Reserve Board(FRB:米連邦準備制度理事会)も量的緩和政策を打ち切り、今年中に3回利上げを行うと発表した。 Wall Street Journalによれば、最近のニューヨーク株式市場が不安定になっているのは、今まで量的緩和政策として毎月1200億ドル(14兆円)もの国債を購入してきたが、これが市場経済から無くなるというので大変なことになるわけだ。今後金利が上昇するとともに投資家は一気に投資先の市場価値を調整する必要が出てくる。5社に1社は赤字と言われているが、金利上昇に伴い利益を出せる会社が大幅に少なくなる。この企業価値の再評価がニューヨーク株式市場の乱高下など不安を引き起こしていると考えられている。
このインフレは2022年の税務申告にも影響を与えるとWall Street Journal は言っている。40年前だが、アメリカではインフレ率が1980年には14.8%にも達したことから、1981年より税額控除額等にインフレ率調整が加えられ、毎年インフレ率に連動する仕組みとなった。例えば、相続税の基礎控除額は昨年が1170万ドル(13億円)だったのが今年は1206万ドルまで増額されている。このようにアメリカでは所得控除はインフレ率にオートマチックに連動するからいちいち国会の決議など不要であるのだ。ところが、このインフレ率調整が適用されていない二つの税額控除がある。その一つは住宅ローン控除だが、2017年に住宅ローンの75万ドル(8500万円、日本は最大5000万円)までの利息が控除される制度としたが、この75万ドルという上限は現在も同じでインフレ調整はされていない。もうひとつは自宅を売却した際の居住用財産の特別控除、現在独身者では25万ドル、既婚者であれば50万ドル(6000万円、日本は3000万円)の特別控除を受けられるが、この特別控除額は1997年に制定されて以来インフレ調整はまったく無し。もしこの特別控除額が他の控除と同じくインフレ調整されていれば、現在独身で41万1000ドル、既婚者で82万2000ドル(9000万円)となっているとWall Street Journal は言っている。以上の二つを除いてすべての所得控除額は自動連動だ。その他、地方税でインフレ調整がされていないのは州税等の控除額が2017年以降1万ドル(110万円)となっている事、また、更に長い間キャピタルロスを通常の所得と相殺できる上限が3000ドル(34万円)であるという事ぐらいである。
一方で、今年、インフレ調整されている項目として目立つのは、給与所得者であれば、連邦所得税源泉徴収額表が2022年に調整され、給与からの源泉徴収額が少なくなった。(日本は逆に所得控除が少なくなったので源泉徴収が多額になった)例えば独身者で給与所得8万ドル(900万円)、隔週での給与支払いが行われる場合毎回5ドルほど手取り額が多くなる計算だ。また、Social Security による年金受給者とっては受給額が5.9%上昇する。これは1982年以来の上昇率と言われている。このインフレが長期的なものなのか、どうかによりアメリカ人の生活に与える影響が深刻なものなると言うが、物価以上に給与・年金が上がる国と、物価だけが上がって給与・年金が上がらない国との違いは、やはり富める国と貧乏な国との差か。みじめである。

推薦図書。
渡邉美樹著 「論語に学ぶ 我が子の夢の叶え方」アチーブメント出版 1400円+税
著者はご存じワタミの創業オーナー経営者であると同時に郁文館夢学園の理事長兼校長である。この本は氏の親友でもあるアチーブメントの青木社長から頂いた。この学園の卒業生には東大進学・五輪出場・EXILE・乃木坂駅46などいるが、なぜ夢を叶えることができるのか。キーワードは「論語」である。41個の「論語」の章句を通して、氏は夢の叶え方を説いている。生徒には、時代を経ても変わらない不易の真理を教えるための最高の教科書が「論語」であると。子供たちが夢を持ち、夢を追い、夢を叶える、つまり、親は子供たちの伴走者になることが夢教育である。そのための指針となるのが「論語」。この本は、その章句の解説であるが、教育は別にして本当にためになることが書いてある。
孔子の言葉「信用が無いことは命がないのと同じだ」「立派な人物は善悪で物事を判断し、つまらない人物は損得で物事を判断する」「お金や地位は誰もが手に入れたいと思うものだが、正しい方法によって得たものでなければ、お金も地位もある身分にとどまらない。地位も身分もないことは、誰もが嫌がるものだが、当然そうなるような振る舞いをしているのだが、もしそうでなければ、それは天命であるので、そこから逃げない」などなど、41の教えを今更ながら読むと、改めて孔子の偉大さがわかる。ワタミの社長がこれほど「論語」に精通していたとは知らなかった。毛沢東など中国の指導者が孔子をほめないのもわかる気がする

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