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ヤフー脱税事件と国税局の調査方法

前にも、このブログで書いたが、多額の欠損金を抱えたソフトバンクIDC㈱を合併することによって、ヤフー㈱が節税するスキームを国税当局に否認されたケース。本来、このスキームは組織再編税制と呼ばれ、形式要件をヤフー㈱もソフトバンクIDC㈱も全て満たしていて、IDCの欠損金をヤフーが引き継げることになっていた。しかし東京国局は、昨年に創設された組織再編税制の中の包括的な租税回避防止規定である法人税法第132条の2(組織再編成に係る行為又は計算の否認)の適用を行い、その結果、それを不服としたヤフー側は、裁判に打って出たのである。つまりヤフーの行ったことは形式的には合法であるが、それは租税回避を意図した謀議であり、本来は税金を逃れるためにした、租税回避、いわゆる赤字会社を抱き込んだことになる、税金逃れではないかとした事件である。

 

これには税理士、会計士、金融機関関係者、弁護士などの注目を集めた。何しろ500億円を超える事件、大手法律事務所から弁護士が10人、孫氏をはじめ曹操たるメンバーが東京地裁に出廷するという大がかりな騒動に発展した。

 

私は思うに、この裁判は、赤字会社を合併することによって、結果的に法人税が節税できたのか、あるいは、初めから法人税節税のために合併する赤字会社を探したのかではないであろうか。法人税法132条の2は、税逃れのための合併はダメだとしている。裁判では後者であり、ヤフーは敗れた。何故か。裁判官は、これはひどい税逃れだとした。裁判で大変注目されたのは、メールである。この合併を仕組むにあたって、ヤフーのインターネットのメールがすべて解読されたのである。

 

このようにメールを次々と裁判に提出されたのでは堪らない。明らかな税逃れと判定されてしまった。税金の裁判も、これは教訓である。決してメールで節税の相談をしてはならない。後に残るからである。手書きのFAXか電話か。パソコンを介しての密議は決してしてはならないということである。

 

 

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内藤忍著 『究極の海外不動産投資』 幻冬社 740円+税
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