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生前贈与、日本とアメリカの差

習近平との米中会談が終わったが、日本ほどにアメリカは報道しないし、アメリカ人は感心が無かった。前回もそうであったが無視である
ところで今回は贈与である。日本は相続税・贈与税とも最高税率は55%である。しかし相続税の55%は6億円超からなのに対して、贈与税は4500万円超から55%である、これは生前の相続税対策をさせないための税であると言える。しかし贈与税額200万円以下(基礎控除110万円)を合わせて310万円以下なら税率10%と低税率で、110万円以下の贈与なら贈与税額ゼロとなる。為に、富裕層のみならず中堅層も、子や孫に年間110万の贈与を繰り返す者も多い。安倍政権の時、高齢者がお金を持つより、若い人が持った方が使うので、経済効果もあるので、親から子や孫に贈与する優遇税制を積極的に創出した。その時に110万円以外にどのような贈与税の特例があったかというと①住宅取得資金贈与の特例・・・これは18歳以上の子や孫がマイホームを買うときに親が援助するもので、最高3000万円の贈与まで贈与税がかからないという制度 ②結婚・子育て資金の一括贈与の特例・・・これは18歳以上50歳未満の子や孫が結婚資金や子育てに充てるための資金を贈与するもので、最高1000万円まで非課税となる制度。③教育資金の一括贈与・・・これは30歳未満の子や孫が教育費に充てるための資金を贈与するもので最高1500万円まで非課税となる制度。これらの非課税制度は、悪くいうなら金持ち優遇制度である。この制度を利用するなら①3000万円+②1000万円+③1500万円+110万円=5610万円まで子や孫に非課税で贈与できる。3人いれば、たちどころに1億6830万円の相続税対策もできると言われた。
ところが今はどうであろうか①住宅取得等資金の贈与の非課税枠は最高1000万円に減少し、②の結婚・子育て資金贈与は来年の3月末で終了する。③の教育資金贈与はすでに今年の3月末で終了したのである。ほとんど贈与の非課税の特例がなくなった。数年前が夢のようである。これからも消費税減税の財源問題でその種の非課税枠の拡大は到底見込めない。
一方アメリカはどうかというと、贈与に勤しんでいる者は多い、不動産、株など、この何十年でアメリカのインフレと共に3倍4倍になっている。賃貸で住んでいる者との格差は非常に大きいのである。失われた30年と言われる国との差が大きい。データによると1989年から2022年の間に自然に増加した資産は65歳から74歳の世帯主で平均23万1000ドル(3600万円)だったのに対して35歳未満の世帯は2万ドル(300万円)の増加にとどまっている。日本の110万円対してアメリカは1万9千ドル(300万円)であるが、贈与税は、日本はもらった方が払い、アメリカは贈与した方が払う、また夫婦間の贈与は金額に関係なく非課税であるので両親がある子は年間600万円まで課税されない。理屈は夫が300万円を妻に贈与し、妻が子に贈与、夫は別の300万円を子に贈与する仕組みである。アメリカには贈与税非課税枠はとてつもなく大きいが、毎年1万9千ドルにこだわるのには理由があって19,000ドル、38,000ドル、その枠内であればIRに贈与税申告書を提出することなく贈与できるからで、30年かければ114万ドル(1億7000万円)出来るのである。それでは日本のように38,000ドルを超えれば課税されるのかというとそうではなく、アメリカは生涯にわたっての贈与税の非課税枠は相続税と同じである。トランプ政権下では一人1500万ドル(24億円)夫婦だと3000万ドル(48億円)まで税金がかからない。生前に1000万ドルの贈与をしていると、死亡時の遺産が2000万ドル以上あると遺産税の対象となる。つまり贈与も相続も共通の基礎控除だということだ。年間の贈与が38,000ドルを超えるとForm709をIRSに提出する、それが生涯の贈与税にカウントされるということである。また、日本と異なるのは、日本の場合、子や孫のために教育費や医療費にいくらかけても贈与の対象外だが、アメリカでは授業料は直接、学校の口座に払わなければ非課税とならない。また授業料以外の寮費、食費、教科書、参考書代、筆記具などは、すべてForm709の対象になる。
しかし裕福な国アメリカでも48億円以上の遺産を残す家庭は少ない。そのため子や孫たちに相続税の心配よりも所得税の節税を考えるのである。具体的に言えば、長い間持っている、株や不動産では値上がりしている物がかなりある。それを子に残すのである。例えば昔10万ドルで購入した家が、今80万ドルになっているとした場合、日本では相続した子が80万ドルで売却した場合、70万ドルの譲渡益がでる。アメリカの場合はステップアップするので、子が売却した場合、相続時の時価で所得したものとみなされ、課税が発生しない。株も同様である。最近アメリカで節税になるため創設されたトランプ口座(Trump Account)これは18歳未満の子のために口座を作り、そこに年間5000ドルを親が拠出する、そして国からも1000ドル拠出する。18歳になるまでは引き出せないが(日本のNISAと似ているが、日本は国が16万円もの援助がない)運用益は長期間非課税になるというものだが、これが不評なのは親が5000ドル入れたからと言って所得控除(Section219)ならないのと、無制限に拠出できない事である。アメリカでは親の直接節税に結びつかないのは人気がない。しかし日本と違って、アメリカでは結果がどうであれ、富裕層受けするものを大統領がどんどん出してくる。

★ 推薦図書。
平野悠著 「超高級老人ホームに入ってみた」 集英社新書 920円+税
著者は日本屈指のライブハウス「ロフト」の創業者であり1944年生まれの悠々自適生活者だが、家庭的には破綻者だ。その彼が千葉県鴨川市(人口3万人)の田舎町に、眺め抜群の超高級老人ホームが三井不動産によって建てられ、運用を開始し、彼はそこを購入した。人生最後は海の見える18階の部屋から、青空の澄み渡る鳥の声が聞こえるところで迎えようと思ったのである。館内は食堂、バー、図書館、露天風呂、ジム、カラオケ、ビリヤードなど高級ホテル並みの豪華施設が整っているうえ、スタッフも親切で、提携病院は亀田総合病院である。全く不満のない老後を送るはずだった筆者が2年でそこを去ることになった。この本は実際の体験記で、富裕層の住人の知られざる実体と本人の心得違いなど、面白く、かつ、哀しく書いている。人生の最後とは、を考えさせられる一冊である。

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