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サッカー、Messiが Inter Miamiへ移籍、税務問題は

私のパソコンの不具合からブログ掲載が一日遅れた。さて、先日Lionel MessiがアメリカのMajor League Soccer (MLS)チームInter Miamiへ移籍するというニュースが流れた。Inter Miamiとの契約は3年契約で年間50-60万ドル(7000万円-8400万円)と言われており、サウジアラビアのAl-Hilal(世界ランキング68位)からの500万ドル(7億円)のオファーを蹴ったとも言われている。また、Inter Miamiは東地区最下位の15位で、世界ランキングでは2823位までのクラブがある中、1332位と、決して強いチームではない。因みに日本では横浜マリノスが155位と最高位だ。ではなぜマイアミにということなのだが、Inter-Miamiの Co-Ownerが David Beckhamであり、その関係もあるだろうと言われている。
Forbesによれば、もうひとつの理由は税金もあるだろうと報道している。フロリダ州は州所得税(住民税)が無いこと、また、相続税、遺産税、贈与税もない。州の法人税は5.5%であるが、他州に比較すれば低いほうだ。更に、知的財産の移転が比較的簡単で、税金が優遇されているフロリダで会社を作りそこでロイヤリティや肖像権を管理することも、彼のような有名なアスリートには有利に働く。
但し、フロリダ州に居住しているからと言って、州税が全て非課税の恩恵にあずかるとは限らない。この仕組みは日本にはない。実際どこに住み、どこで働くかにより課税が行われる(日本は住民票があるところでしか地方税がかからない)。連邦法上、同じ収入に対して、二つ以上の州からの課税は出来ないとされている(二重課税排除)。例えば、A州に住んでいる人がB州で働いている場合、A及びB州で申告を行い、B州で源泉徴収された税金をA州で控除することになる。通常短期滞在(30日間以下)の場合、訪問した州では非課税になるが、試合で滞在するアスリートなどスポーツ選手には適用されない。このルールは外国人でアメリカで試合を行う米国非居住者にも適用されるので注意が必要である。これらをJock Taxとよぶが、アスリートは住んでいる所、練習する所、試合を行う所で課税される。この意味で、Messiがフロリダ州のチームを選んだということは税務的に最も得策だと考えたからであろう。彼がフロリダ州に住み、練習を行い、試合をする限り、州税はないわけだ。ちなみに、この前久しぶりにテニストーナメントに出場した錦織も居住地はフロリダ州、ゴルフの松山もフロリダ州だ。
ただ、Messiについて心配なのは、スペインのバルセロナにいた時に、脱税の罪で父親と共に実刑判決を受けていることである。彼はスペインとアルゼンチンと二つの国籍なので、アメリカで働くには労働ビザを取る必要がある。プロのスポーツ選手はスポーツチームをスポンサーとして通常P-1ビザが発給される。但し、Immigration and Nationality Act のSection 212 Moral Turpitudeに関連した罪で実刑を受けている外国人はアメリカに入国出来ない記している。Moral Turpitudeな罪とは不道徳による罪とされ、Messiのように脱税犯がまさにそれに該当する。P-1が難しい場合には、通常アメリカではO-1がある。これは 科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツにおいて卓越した能力を持った個人に適用されるので、Messiにはそれが適用されるようだ。マイアミとの契約は、来月7月からだからMessiの弁護士は、アメリカでのビザ発給の為にあらゆる手段を講じて、高額な弁護士報酬を受けていることは想像に難くない。実にアメリカ社会である。

☆ 推薦図書。
マイケル・ウエイド/ディディエ・ボネ/横井朋子/ニコラウス・オブウエゲザー著 根来龍之監訳/門脇弘典訳 「ハッキング・デジタル DXの成功法則」 日本経済新聞出版 2640円
DX(デジタル・トランスフォーメーション)は数年前から話題になり、そして義務化された。しかしDXは難しい、DXに関する研究成果は87%が期待に沿えないという結果だ。成功率は極めて低いが、そうかといってDXにチャレンジしないことは出来ない。本書は多くの企業が直面するDXに関するベストプラクティスを集めたものだ。DXで成功する組織は、外部の出来事に対するハイパーアヴェアネス(高度な察知力)を備えている。特に従業員や顧客が何に価値を置き、どう考え、行動していくか(行動察知力)と、事業環境の変化を判別するする(状況察知力)である。としているが、なかなかこの本を理解するには時間と忍耐が必要である。

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