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国税庁公表、国外財産調書の実態

いよいよ確定申告のシーズンに入った。いつもながら国税庁はこの時期、個人の税務調査の実態を明らかにする、これは脱税はしてはいけない、すぐばれる、だから正直に申告しなさいと、広報活動時期でもある。テレ朝も、これに協力した形で連続ドラマ「おコメ」を松嶋菜々子、大地真央らの主演で東京国税局資料調査課がいかに国家権力で税金をごまかす人を捉えているかを放送している。そして毎年この時期に国税庁は「国外財産調書の提出状況」を公表している。これは個人で海外に5000万円以上財産を保有している人は、所得に関係なく確定申告でそれを税務署に報告しなければならない制度である。昨年の申告によると国外財産調書を報告した人1万4544件、その総額8兆1945億円とある。その5年前は3兆8965億円だから、実に国外財産を5年で2倍にしたと思えるが、そうであろうか。国外財産の中身は有価証券が5兆4817億円、預金は8817億円とある。5年で2倍になったのではなく、税務調査や税務署の問い合わせでバレたので、仕方なく国外財産を提出したのではなかろうか。国税当局によると国外財産を未提出で加算税が重くなったのは366件、提出後に申告漏れが見つかり加算税の軽減措置が適用されたのが221件とある。
CRS制度(Common Reporting Standard)は租税回避の動きを阻止するために、経済協力開発機構(OECD)が策定した制度で、銀行、証券、保険を含む非居住者の金融口座情報を毎年12月末時点で集計し世界155か国以上の税務当局間でその口座情報を交換するという制度が2018年から作られ、それによってシンガポール、香港、スイス、ケイマン、バハマ、パナマなどアメリカを除くほぼすべての国が加入している。それによると日本人個人の口座情報は200万件を優に超えている。
私は疑問に思うのは、海外に預金口座がある人の総計は8817億円と公表しているが、ハワイだけで日本人口座が数万件あり、シンガポールなどは何十万という日本人口座があると言われているのに1万4千人しか申告していない。CRSに唯一アメリカが参加していないが、アメリカの日本人留学生がいつも3万人超で、ハーバード大学やスタンフォード大学などは、授業料寮費だけで年間1500万である、その親たちの口座が5000万円以下であるはずがない。私は国外財産調書で申告している数字は100分の1以下だと思っている。従って富裕層課税が進むと、ますますカネが海を渡る。イギリス等を見ていると明らかだ。しかし税務当局は海外、特にアメリカの金融機関の情報は全く入らないので、税務署は本人の自主申告しか頼るものがないのが現状である。

★ 推薦図書。
サイモン・シネック著 栗木さつき訳 「WHYから始めよ!」インスバイア型リーダーはここが違う 日本経済新聞出版 2200円+税
この本は、周囲の人を感激させ、奮起させる力、すなわちインスバイア(鼓舞)するリーダーたちの行動様式を解説したものである。リーダー達はWHY(理由)→HOW(手法)→WHAT(自分のしていること)の順に考え、行動する。これをゴールデン・サークルという。研究開発において具体例は、ライト兄弟には「飛行に関する問題を解き明かそう」というWHYがあった。その信念を貫き、周りに熱心に語ることで、人の心を揺さぶった。その信念を共有することで、後退しても、前進しようと皆が立ち上がった。このように目標を目指して励むことのできる仕事を与えると、苦しい努力を続けられる。

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