アメリカの議会予算局は、2025年度(9月末)は1.78兆ドル(260兆円)の財政赤字となったと発表した。しかし財政赤字の金額は2024年度に比べると410億ドル(6兆円)減少している。法人税収入は15%減少している、一方Social Security Benefitの支払いが物価調整により上昇し1210億ドル(18兆円)増加している。また、物議をかもしているトランプ関税の税収は1950億ドル(30兆円)となり、昨年度と比較し770億ドル(12兆円)増加している。Bessent財務長官によれば、年間ベースで関税による税収は5000億ドル(75兆円)ほどになるという。この関税について、連邦裁判所では大統領の権限を逸脱しているとして、違法との判断がすでに出ている。この関税の法的判断については11月に最高裁でヒヤリングが行われる予定だ。トランプ政権は1977年のInternational Emergency Economic Power Act(IEEPA)の発動は、貿易赤字は国家の危機であり、メキシコ、カナダ、中国からの違法薬物の持ち込みに対しても、アメリカは危機に晒されており、関税は正当なものであると主張している。
アメリカでは、トランプ大統領は最近よくTACOだと揶揄されている。これはTrump Always Chicken Outの略で、この英語の意味は、トランプはいつもやろうと言ったことを途中で怖気ついて、結局は何もやらないということだが、本人は、この言葉を相当嫌っているのも事実である。第一次政権の時は、メキシコとの国境の壁を完全に作り、その費用はメキシコ政府に持たせると言っていたが、結局は国境の壁は未完成で、その費用もアメリカ国民の税金が使われた。更には北朝鮮の金正恩との2度の首脳会談で、核兵器の放棄及び国交回復すると言っていたが、結局は何も実現しなかった。そして第2次政権ではウクライナとロシアの戦争は政権発足と同時に解決をすると豪語していたが、相変わらず戦争は今も続いている。今回の関税も最高裁で違法との判断が下されれば、これまで集めた関税を輸入業者に全て返すと言っている。アメリカでテレビを見ていると、最近カナダがアメリカTVで関税反対のTVコマーシャルを流しているのがわかる。TVコマーシャルは「ロナルドレーガンが大統領であった時に関税の保護主義はばかげている、全ての国との公平な貿易が世界経済を発展させる」というもので、トランプは激怒し、カナダとの関税交渉を打ち切った、さらに、ワールドシリーズでトロント(カナダ)のブルージェイズとドジャース戦で、このコマーシャルが流れ、カナダ・アメリカの放送局に対して制裁を科すと息巻いている。
財政赤字を抱えているアメリカではあるが、チリに対し為替スワップ枠200億ドルを含む400億ドルの金融支援を行っている。これに対し民主党は、現在予算が通過しないのは低所得者層に対する医療費削減をしようとしている共和党案に反対しているからで、どうしてチリに400億ドルもの支援を与え、自国民にはけちるのかと激怒している。更には、日本でも放送したが、ホワイトハウスのEast Wingを突如解体し始めた。当初はBallroomを作るが一部に影響があるかもしれないと言っていたが、東柱廊を含めたEast Wing全てが解体されている。123年前にTheodore Roosevelt 大統領の時代に建設され、Franklin Roosevelt時に改築され、ファーストレーディの部屋があり、歴代の大統領夫人の功績が残されている。また、大統領の家族がスーパーボールを家族で見るシアターもある。ただしメラニアは殆どこの部屋を使用していないと報道されている。今回トランプは999人収容できる9万SF(2500坪)のBallroomを作るとしてEast Wingを取り壊した。正にKingが舞踏会を開きたいと言っているようだとアメリカのメディアは騒いでいる。この建設には3億ドル(450億円)かかると言われているが、寄附で賄うということで、ホワイトハウスは寄附者のリストを公表している。アマゾン、アップル、メタ、グーグル、マイクロソフト等ITの大所はリストに記載されているのである。但し、金額は記載されていない為、本当に寄附で賄われるのかはTACOなので怪しいとも言われています。ただ皆さん驚いたのは、そのリストに、テスラの名前がなかったのである。
★ 推薦図書。
坂本貴志/松尾茂著 「再雇用という働き方」ミドルシニアのキャリア戦略 PHP研究所 1320円
100歳人生叫ばれる中、雇用者の職業人生は長期化している。これは単に生涯の労働時間が延びるという問題ではなく、働き方やキャリア人生のあり方を問うものである。一般的に①(20~50歳)住宅購入や子の教育費が大きく、昇進など収入増を仕事の主な動機としている②(50~65歳)ミドルシニア期、働き続ける必要はあるが、役職を降りることが多くなり、キャリアでは最も複雑で難しい局面③(65歳以上)シニア期、家計支出が減り、公的年金の受給が始まる時期。人手不足が叫ばれる今、ミドルシニアが経験を活かし、プレイヤーとして活躍を期待するなら一律で給与を下げるといった処遇をしてはいけない。多くのミドルシニアは「年下上司」の下で働くので、ミドルシニアの活躍を促すためには「厳正な評価を行い、納得と意欲を引き出すマネジメント」何より重要である。ミドルシニアの職責に照らした目標設定や、時には高度な業務への挑戦を促すことも重要である。
