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エリザベス女王の相続税

エリザベス女王の遺産は全て王位と共にチャールズ3世に引き継がれた。日本の法律に従うと、いかに天皇であるとも相続税の対象になるのである。従って昭和天皇の時もそうだが相続税申告書を麴町税務署に提出した。、それでは英国はどうであるのか。イギリスの相続税は先進国では高い。基礎控除(Nil Rate Band)は£325k(5400万円)で相続税率は一律40%(日本は10%~55%の累進課税)で、相続税が高いと言っても日本の富裕層よりははるかに優遇されている。申告はアメリカと同じで執行者が申告納税する。そして、これもアメリカと同じく、配偶者はいくら相続しようとも相続税はかからない。日本の皇族は「皇室経済法の規定によって皇位とともに皇嗣が受けた物」は非課税であるが、美術品などは非課税ではない。従って昭和天皇の時は課税された。一方イギリスではどうかというと、そうではなく「君主から君主に相続されたもの」は全て非課税である。イギリス王室は日本と違って金持ちである。宮殿の不動産や国宝級の絵画は有名だが、スコットランドのバルモラル城やサンドリンガムハウスも知られている。このほか個人所有ではないが独立して運営している組織(Crown Estate,)が所有するロンドンの一等地リージェントストリーにある不動産やアスコット競馬場,もっと言うと、バッキンガム宮殿、ウインザー城、セントジェームス宮殿、これらすべてチャールズ3世に相続されるのは非課税である、そしてこれらの物件を維持する費用は国が負担すると法にある。また君主は相続税の負担がないばかりか、個人所得税等は一切かからない。にもかかわらずエリザベス女王は毎年申告納税していたという。このあたりが、これほどまでに国民に慕われた一因かもしれない。

推薦図書。
メスキータ/スミス著 四本健二/浅野宜之訳 「独裁者のためのハンドブック」亜紀書房 2200円
不正を犯す企業経営者や残虐行為を繰り返す独裁政治家、これら暴君はいかにして権力を握り続けるのか、カネとヒトを支配する権力構造を解説している本である。とくにプーチンを理解する意味で面白い。リーダーは支配者が支配されるルールがある。どんなリーダーも独りで統治する事は出来ない。独裁者を支持する集団がなければならない。それには盟友が大事であるが、リーダーの盟友であっても、別のリーダーの傘下に入った方が得だとなれば、その政治的盟友を見放す。リーダーも、権力の座に着けば、自分に忠誠を尽くしてくれる者を取り立て、今の盟友を切り捨てる。リーダーは何をするのも2つの理由がある。「口実」と「本当の理由」がある。例えばアメリカはロシアや中国での反政府勢力には「自由」で擁護するが、サウジアラビアのような友好国で民衆が政府打倒を叫べば「政治的安定の維持」を呼びかける。

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