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アメリカ本国還流税(Repatriation Tax)の問題

先日Forbesにインドの会社へ投資したアメリカ人夫婦が本国還流税で最高裁判所により最終結審として取り上げられることになったと掲載された。本国還流税とはレパトリ税とも言われ、英語でRepatriation Taxのことで、アメリカ多国籍企業が海外で得た利益を本国に還流させる際課税される税金である。1962年以前の税法では、海外のアメリカ多国籍企業が得た利益は配当としてアメリカ本社に分配された場合のみ課税とされていたが、結果としてオフショアで利益がキープされ、アメリカには還流されないことが問題となった。その後税法が改正され、海外に10%以上の持分を持つ米国の株主に対し、たとえ配当はなくとも、配当したとして、その持ち株割合に応じ、利益に対して課税が行われるようになった。
この税制改正が行われたにも拘わらず、アメリカ政府は2015年までに課税されていないオフショアでの利益の蓄積が2.6兆ドル(300兆円)あると発表した。2017年のTax Cut and Jobs Actにより、今後アメリカ多国籍企業が利益をアメリカに配当として還流させた場合、1回限り課税を行わない、それは1回限りである、そしてアメリカ本国還流税を義務付けた。これにより1986年までに遡及して、その海外企業の収入の持分割合に応じて15.5%の課税が行われたのである。アメリカ政府はこれにより、2018年迄にアメリカに7770億ドル(100兆円)もの資金が還流し、レパトリ税として3400億ドル(47兆円)もの増収となったと公表したのである。
今回の最高裁の夫婦のケースだが、2005年に彼らは13%持分としてインドの会社に4万ドル出資したが、その後ビジネスは順調で毎年利益を上げ、その利益は再投資されている、会社は無配当を続けてた。これに対し、IRSはレパトリ税として1万4729ドル(200万円)を課税、この夫婦はその税金を納税した上で、本件はアメリカ合衆国憲法修正第16条に違反するとしてIRSに対し還付を求める訴訟を起こしたのであれる。このレパトリ税は未実現の利益に対する課税であり、インドの会社の株式に対する課税ではないのか、つまり、未実現利益に対する課税は資産税のようなものであり、憲法修正第16条に違反するのではないかとIRSを訴えた。一方、アメリカ合衆国政府は憲法修正第16条は実現利益のみ課税するとは制限していないとして、対立した。1・2審とも夫婦の原告は敗訴しているが、今後の最高裁判所での判決がどう出るか大変興味深い所である。
私の会計事務所もそうだが、ここで注意しなければいけないのは、アメリカ国外に住むアメリカ人やグリーンカードホルダー(永住者)だ。彼らは全世界の収入をアメリカで申告しなければいけないわけだが、このようなレパトリ税やアメリカ国外で設定したリタイアメント口座などはPassive Foreign Investment Company(PFIC)として毎年、その損益をアメリカ合衆国に申告しなければならない。また、Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR)でアメリカ国外金融口座の申告も行う必要がるので、本当に注意が必要だ、日本と異なりこの種のペナルティは膨大になるからだ。

☆ 推薦図書。
栗山英樹著 「栗山ノート2」 光文社 1650円
翔平にそういわれている気がしました。それだけに世界中の野球ファンが見守ったトラウトとの勝負も、私は翔平が勝つと確信していました。3ボール2ストライクになり、翔平が6球目を投じます。私はトラウトのスイングしか見ていません。空振りしてほしいときはいつもそうするように、回れ!まわれ!マワレ!と口に出して言いました。そして。トラウトのバットが空を切りました。これはWBCの栗山監督の書である。私は読んでびっくりした。氏の教養の高さだ。冒頭から、中国の古典「四書五経」の「大学 伝二章」に「湯の盤の銘に曰く、筍(まこと)に日に新たにせば、日々に新たに、また日に新たなり」とあり、古代中国の殷の王は、洗面器にこの文字を刻み、顔を洗うたびに自らを問いかけたといいます。・・から始まった本書、古代、古典の名著をことごとく読破し、さらに松下幸之助、渋沢栄一など成功者や名を遺した先人の著を解説までしている。私などはとても足元に及ばない読書量である。この一冊でわかる。そのうえで荘子や孟子、君子、徳川家康の人生訓まで謳っているので、今の学生、ビジネスマンはもちろん、評論家や教授の本よりは為になる。しかもWBCの選手との関わり合いを詳細に記しているのには感動した。是非、薦める初秋の本である。

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