ブログ

Musk氏のTwitter社買収事件の今後

Musk氏のTwitter社買収事件の雲行きが怪しくなってきた。以前にもこのブログで書いたが、この買収が実行されるかどうかは分からない。先々月4月に買収合意がなされ、その後Musk氏により一時的に買収の話し合い停止と発表され、6月6日にはTwitter社に買収を白紙に戻すと脅している、というアメリカメディアの報道があった。その理由は、Musk氏はTwitter社が実際のFake、Spam、休眠アカウントの開示を行っていないと主張している。
ウオールストリートジャーナル(WSJ)では、Musk氏は4月にTwitter社買収を焦り、それ故にTwitter社に優位な契約書になっていると報道してる。特にDetail Due Diligenceを放棄していること、又、Musk氏がこの買収を遂行しない場合、Twitter社は買収遂行の為Musk氏を訴訟出来るというものだ。また、買収が履行されない場合、10億ドル(1200億円)の罰金を科すと書いている。勿論、政府による規制や介入が出来なくなる、もしくは、買収同意後、重要な変更が生じた場合には、この罰金を払う必要はない。
Twitter社がFake、Spam、休眠アカウントは全体の5%ほどだと明言しているが、Musk氏は、この数字は嘘だ、本当の数字を開示しろと言っている。既にDue Diligenceを放棄しているので、契約違反ではないのではと言われているが、Musk氏は、Twitter社はそもそも表明保証に過ちがあったと指摘してしている。但し、専門家の見方は違う。これはMusk氏の詭弁だと言われている。
専門家やメディアはどう見ているか?それはMusk氏のTwitterの使い方が異常で、彼の経験は一般人と違うという点である。 Musk氏は過去4年間毎日Twitterを使用しており、約1億人のフォロワーがいると言われている。彼のような有名人には、怪しい内容の拡散を狙っている人たちのマグネットとなっている。多くのフォロワーを持つオバマ元大統領やその他の有名人はそれほどツイートをしない。Musk氏のフィードは特定の商品を購入させるもの、金銭をせがむもの、特定な政治的なアジェンダを推し進めるもので、特定の団体及び個人が恣意的に動かしていることが明らかである。ある調査ではMusk氏の1億人のフォロワーの70%がFake かSpamだと指摘している。
専門家は、今になってMusk氏がこの問題をエスカレートさせてきたことは怪しいと見ている。これは恐らくTesla 及びTwitter社の株価が4月以降暴落、特にTeslaは4月のピーク時の6割まで下落、Twitter社はMusk氏の買収価格1株$54.2に対し6月10日時点で1株$38.98となっている。Musk氏が買収価格を下げたいという意図が見え見えだ。WSJによれば、2020年にルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVNH)がティファニー(Tiffany & Co.)を買収した際もパンデミックにより業績が悪化したTiffanyの買収を中止しようとし、訴訟となり、結局LVNHはTiffanyに対する買収価格を下げ、買収に合意している。4月上旬のTesla社の株価が高値を付ける中、Musk氏は余裕で即Twitter社買収を考えていたはずなのだが、株式市場低迷により潮目が大きく変わった。Twitter社との落としどころをどうするのかが、世界注視である。

☆ 推薦図書。
大塚雄介著 「ビットコインとブロックチェーン」ディスカヴァー・トゥエンティワン 1760円
時価総額1兆ドルを超える仮想通貨の技術で世の中はどう変わるのか?バーチャルなお金に価値が生じるのはなぜなのか? デジタル通貨とは何か? 分散型金融DeFiとは何か? 話題のNFTとは?などを質問されたとき、あなたは説明できるでしょうか。など今さら聞けないデジタル通貨の入門書である。若い人でも理解できていない人が多いと感じる。本書の内容の事柄は、日々刻刻と進化し続けるテクノロジーにより、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産の状況は目まぐるしく変化している。数年前に得た知識は既に老朽化、この著はビジネスパーソンの基礎知識として、これからの金融、経済、社会を語る上で必要最低限の仮想通貨の情報である。しかもわかりやすい。

関連記事

  1. アメリカの2014年度税制改正案、日本との差
  2. パナマ文書の大騒動・アメリカ人はいない
  3. アメリカ市民権離脱に関する問題
  4. なぜ香港か、タックスヘイブン利用会社、脱税摘発
  5. 消費税上げが直接財政収入につながるか
  6. 仮想通貨取引の脱税を監視、国税局
  7. アメリカ、税金滞納者にパスポート発行禁止か
  8. 金地金の密輸、過去最高

アーカイブ

PAGE TOP