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税金滞納者に対しては、ついにパスポート取り上げ、アメリカ

フィナンシャルタイムズやウオールストリートジャーナルの記事にもあったように、以前にもこのブログで書いたが、アメリカでは2015年12月4日に当時オバマ大統領はFixing America’s Surface Transportation (FAST) Actに署名し、3050億ドル(33兆円)の予算をもって今後10年以上にわたり高速道路、公共交通機関等のインフラ整備を行うとした。その財源として、5万ドル(550万円)以上税金を滞納している納税者のパスポートを取り上げる、もしくは、申請を却下するとして税金を払わせる、というものであったが、トランプになって、いよいよIRSが国務省と連携し本格的に動き出した。

 

今のところ、この措置の対象となる滞納税額は2018年には5万1000ドル(600万円)、2019年には5万2000ドル(610万円)以上と毎年上がっている。IRSは2018年2月以降に取り締りを強化し、該当する税金延滞者のリストを国務省に送り、国務省は実際にパスポートの申請を拒否する、更新をしない、もしくは没収するという手段に出てきた。今週に入り、プレスリリースを行って該当する未納税者には納税を速やかに行うよう呼びかけている。

 

この法律が発効して以来40万人の滞納しているアメリカ納税者に、「あなたのパスポートが危うくなる可能性がある」旨の通知書をだしている。これらの通知書により、2018年7月13日時点での報告書では、IRSはこれまで220人の納税者から税金1億1500万ドル(130億円)を回収していて、1400人以上の納税者が分割支払い契約書に署名をしている。この通知書を受け取った税金滞納者は、受領後30日以内にIRS宛何らかの回答する義務があるとしていて、IRSはこの通知書を受け取ったらすぐにコンタクトしたほうがいいとアドバイスしている。つまり、国家権力を敵に回して何の得があるかということ。

 

しかし、この問題は海外の税金滞納駐在員には深刻な問題であり、通知書を無視した駐在員がアメリカに一時帰国する際、入国管理局で滞納している税金を払わなければ、その場でパスポート没収となり、再び赴任地へ戻ることができないという事態が発生する。ただし、この強制執行には、IRSとすでに分割支払い契約を結んでいる、もしくは、税額減免契約を締結している、法務省と和解している滞納者、既に滞納税金の回収が行われている者は含まれないとなっている。さらに、破産手続きに入っている、税金詐欺の犠牲者、連邦政府により指定している自然災害地域の居住者、また、軍事戦闘地域での軍事活動に従事している者も強制執行該当者には含まれない。

 

税金滞納者に対し、いよいよパスポートの没収が本格的に始まったとメディアが報道したが、海外に行く必要がない、外国に興味をもっていない税金滞納者(確かに一度も海外に行ったことがないアメリカ人は日本では想像もできないくらい多い。)には全く痛くも痒くもない措置ではある。しかし駐在員や海外への行き来を行わなければならないアメリカ人にとっては、深刻な問題であることは確かである。パスポートが没収される、更新や申請ができないというのは、このグローバルが進む社会では大変頭の痛い問題だ。

 

国家の基盤である税金の滞納者に対して、ここまでやるアメリカ政府にはやはり恐怖だが、確固たる信念を感じる。日本政府も税金滞納者や脱税者に対して、パスポートや運転免許証を取り上げるなどの措置を講じたほうが引き締まるのではないだろうか。

 

 

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