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Equifax社のハッキング事件と闇サイト、アメリカ

米国では最近、Equifaxという会社のデータがハッカーにより奪われていたことが発覚し大きなニュースになった。この会社は消費者のクレジット情報を収集し、その消費者の支払状況及びクレジットスコア等をレポートして、生命保険会社や金融機関等に提供することで大きくなった会社で、Experian 及びTransUnionとともに米国では3大クレジット情報収集会社となっている。 米国では車や住宅を、ローンを組んで購入する場合、金融機関は必ず購入者のクレジット情報をこの3大クレジットレポート会社から取り寄せる。もしスコアが低い場合には金利が高くなったり、ローンが拒否されたりする。また、就職にもこれらのスコアは使われる。その人が財務的にも責任があるかどうかがこれでわかる。その意味では、この会社が行うことはアメリカ人の生活に大きな影響を与えることになる。

 

このような会社は個人の名前、住所、納税者番号から生年月日、支払状況、何をどこで買っているかが全て把握しているわけで、今回の事件で1億4300百万人の情報がハッキングされたわけだ。大変なことである。ウオール・ストリート・ジャーナルによると、これらのハッキングは今年の3月頃から行われていたとされている。Equifax社はSocial Security Administration及びMedicare並びにMedicaidの本人確認を行うサービスを提供し2000万ドル(22億円)ほどの収入があり、政府系へのサービスもしている。SSAはハッキングの形跡はないとしているが、本当に怖いことである。

 

Bloomberg誌ではこれらのハッカーによって盗まれた情報が闇サイトで売買されていると、それではいったいいくらで取引をされているのだろうかという記事があった。闇サイトでの取引はビットコインで行われているのが通常で、限度額が高いクレジットカードはビットコイン相当額10~20ドルだと、デル社のSecurity works部門はサイバー犯罪レポートの中で述べている。この闇サイトは、Internet forum, digital shop, chat roomsの集まりで、ここでサイバーの犯罪者たちが、徒党を組んだり、ツールやテクニックを交換しあう場であり、個人情報が取引されている。

 

ここでは、実際クレジットカードを使用し、まだキャンセルされていないことが判明しているクレジットカードは、”Verified”とよばれ、“Unverified”に比較し高く売れるわけだが、予算が厳しい詐欺師はこの”Unverified”の情報を購入するようである。特にクレジットカードでいえば、”Verified”された、限度額のない法人クレジットカードが高く売れているようで、Platinum American Express カードは15~20ドルほどで取引きされ、マスターカードで限度額の高いものは8ドルほどだそうだ。

 

個人情報は名前、住所、納税者番号、生年月日等がそれぞれ10ドルほどで切売りされている。特に重要な情報として「母の結婚前の姓は?」と、金融機関が本人確認の手段としてアメリカではよく使う手だが、それでも10~12ドルほどのようだ。それでは、最も高い情報は何だろうか?これはW-2と呼ばれる情報である。これは源泉徴収票に似たもので、その年の全ての給与情報及び個人情報が記載されている。これを入手できれば、偽の税務申告ができることになり、所得が大きい人であれば、何万ドルから何十万ドル単位で還付金を受けることができる。このW-2の情報は40~50ドルで取引されているのだそうだ。

 

最近多くの会社のデータがハッキングされているが、今回のEquifaxについては大きな問題となっており、議会でも喚問を行うどうか検討している。特に納税者番号や生年月日等の情報は痛手で致命傷である。闇サイトに流出し、詐欺師たちの格好の餌食となる。このインターネットの社会は便利な社会になっているわけだが、このようなブラックホールのような闇があることも確かである。自分の個人データをいかに守るのか今後の課題であるのと、日本のマイナンバー制度も、個人情報が流出しないわけではないので、法制化できるかどうか危ぶむ声が多い。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
佐藤弘幸著 『富裕層のバレない脱税』 NHK出版新書 820円+税
著者は元東京国税局資料調査課に勤務、主として大口、悪質、困難、海外、宗教、電子商取引事案の税務調査を担当した人である。
パナマ文書の公表以来、タックスヘイブンの存在が暴露されて「大金持ちがまともに税金を払っていない」ことは半ば常識となりつつある。本書はマルサ(国税局査察部)を超える最強部隊と呼ばれる元国税局資料調査課の著者が、富裕層のあらゆる脱税の手口を白日の下にさらす一冊である。カネを国外に逃す方法は?金塊が密輸される理由は?脱税支援者の驚愕の手口とは?そのすべてが明らかにされている。
この本はある意味、反面教師である。この本を読んで、さらなる脱税者を作らないとも限らない。極めて危険な本でもある。

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