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新たなタックスヘブン国、アメリカ(1)

私は今、太平洋上で、あと4時間ほどで成田に着く予定だ。

 

Bloomberg(ブルーンバーグ)のニュースでは、スイスの銀行口座からアメリカの銀行口座に資金が流入しているようだと発表している。筆者はかねてから、節税目的で資金を移動するならアメリカであると、このブログでも繰り返している。シンガポールや香港ではないのである。ヨーロッパではアメリカのことをNew Switzerlandと呼ぶ人も少なくなく、現に、バハマ、ブリティッシュ・バージン・アイランドからアメリカのネバダ州、ワイオミング州、サウスダコタ州に資金を移動している富裕層の外国人が多くなっている。

 

富裕層ビジネスを展開しているもっとも歴史があるヨーロッパの名門Rothschild社も、ついにアメリカ、ネバダ州のリノに信託会社を設立した。なぜかというと、バミューダの富裕層の顧客口座をネバダ州リノに移すためだ。世界の富裕層はアメリカIRSがスイスの銀行に顧客開示を迫った状況をつぶさに見て、アメリカの強大な圧力を感じている。アメリカに逆らえば金融は成り立って行かないのを実感した。翻って考えると、アメリカに逃避してくる人やカネにはアメリカは寛大で、守ってくれるのである。

 

しかも、アメリカに資金が流入する原因の一つに、政治的、経済的、安定性に魅力がある。そのため、中国の富裕層のほとんど、政府高官も含め、アメリカに口座を置いているのもそれが理由である。もう一つの理由は、アメリカは外国に対して金融情報を開示せよと要求するが、自国の金融情報は決して開示しないことである。つまり勝手な国である。

 

Rothschild社は、自社の顧客は自国の税法を順守していることが条件だと言っているが、はたしてどうかはわからない。Rothschild社以外にもスイスのジュネーブに本拠を置くCISA Trust Co.SAはラテンアメリカの顧客を中心にサウスダコタ州のPierreにオフィスを開設した。アメリカをよくご存じない方のために解説すると、Pierreはサウスダコタ州の州都ではあるが、人口はたったの1万3000人の村である。さらに、Trident Trust Co.と言えば、名だたるオフショアトラスト設立会社として有名だが、スイス、グランドケイマン島から口座をサウスダコタ州のSioux Fallsに移した。口座を移す原因として、彼らは税金逃れではなく、自国での誘拐や恐喝などの犯罪から逃れるためと称しているが、はたしてどうか?

 

しかし、なぜ、アメリカのサウスダコタ州、ワイオミング州、ネバダ州の3州か?機内で疲れたので、次回に書きたい。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
小保方晴子著 『あの日』 講談社 1,500円+税
私はSTAP細胞の発見をテレビで聞いた後、友人の医師から「地球は三角形だと発表するのと同じだ」と電話を受けた。なぜ、すぐわかるウソを発表したのか。著者、小保方さんは沈黙を破って手記を公表した。自分に対するバッシングの凄さ、「私個人に対する取材依頼は連日、山のようにきた」「返事をしないと、返答がなかったと報じられた」「返事がない場合は、その理由をお知らせください」などなど。「笹井氏が自殺した。享年52。神戸市の先端医療センターの関連施設内で首を吊るという壮絶な死に様だった。笹井先生がお隠れになった。8月5日の朝だった。金星が消えた。私は業火に焼かれ続ける無機物になった」「私には連日、『お前がかわりに死ぬべきだ』『後追いを期待しています』」「若山先生に話し合いを求めて電話をかけたが、電話に出てもらえなかった。笹井先生も若山先生に電話をしたが、取り合ってもらえなかった。丹羽仁史先生が『ハシゴを外されたんや』と言い残した」など実名でこの本に数々の先生が登場し、自身、今なおSTAP細胞はウソではなかったとして、被害者だと結論付けている。

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