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昨年の贈与税額、前年比70%増、駆け込みか

国税庁がこのほど発表した平成26年分の贈与税の納税者およびその申告税額が平成25年分と比べ、なんと70.8%と大幅に増加したことが判明した。平成27年(今年)から相続税率、贈与税率とも最高税率が50%から55%に引き上げられた。つまり駆け込みである。平成26年分の贈与税申告書を提出した者は47万人で、前年度から3万人増加した。このうち贈与税納税額があった者は36万3000人で前年から3万7000人増加、申告納税額は2584億円で前年比70.8%増加したのである。

 

日本では贈与をする際、年間110万円の基礎控除がある、いわゆる暦年課税の贈与と、特別控除2500万円の相続時精算課税を適用する贈与の2種類がある。相続時精算課税を適用した贈与は贈与税率20%であるので、贈与時の負担は110万円の暦年贈与よりはるかに少ない。しかし相続の時は、生前贈与した財産の額は相続財産に合算される。いつ相続が発生するかもわからないので、死んだときの相続税率が70%になっていれば、相続時精算課税を選択したことを後悔するに違いないから、暦年課税を選択した者が平成26年の贈与で多かった。

 

7月2日、首相の諮問機関である政府税制調査会が来年度税制の改革に向けスタートした。最大のテーマは、働く女性を増やし、子育て世帯を支援するため、税負担を軽くする制度などを根本から見直すとして、その次に「所得や資産が多い人の負担を重くする」税制を創設してゆくとしている。こうしたことが、少子高齢化の痛みを和らげることだそうだ。

 

所得税率、相続税率55%から、さらに税率を上げようとしている。高額所得者は稼いだ分の70%が国に持っていかれるのが、はたして正常な民主主義の国だろうか。富裕層はこれでは日本を離れる。しかし政府は先に手を打った。今年7月1日から施行した出国税である。日本を出て行く者は税金を払って出て行けである。欧米では、すでに相続税を低くしたり、やめようという動きがある。富裕層がいるからこそ投資と雇用が守られるという考えと、国の財政が厳しいから、取れるところから取るという発想では、水と油である。北朝鮮ではないが、今後とも脱日本者が増えることであろう。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
保坂俊司著 『「格差拡大」とイスラム教』 プレジデント社 1,500円+税
この著は一言でいえば、日本人はイスラム教を理解していないということである。1700年~1820年までは世界の富はその人口比であった。1750年の世界の工業生産の各地域の割合は、西欧18.2%、中国32.8%インド24.5%、その他15.7%であったが、1880年には西欧68.8%、中国12.5%、インド2.8%、その他5.3%となり、中国やインドが極端にシェアを失っている。この原因は産業革命である。そして工業生産のための資源を求めて植民地支配が行われた。これはアジアやアフリカ、南米の富の、欧米への移行である。この不平等に対し立ち上がったのが、今の「イスラム復興運動」である。
イスラム教徒の人口は急増していて、2030年代に全世界の人口の3分の1がイスラム教徒となる。植民地支配からの脱却が「イスラム原理主義」を生み出す原因となっている。ハンチントンは文明を、西欧、アフリカ、イスラム、日本、ラテンアメリカ、中国、ヒンドゥー、東方正教会と8つに分けた。国際平和を維持するには各文明の中核となる国家は、他の文明内の衝突に介入しないことである。日本はイスラム圏に対し必要以上のことに関わるべきではないとしている。

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