空海が開いた世界遺産の和歌山県高野山、そこには50ほどの寺と宗教法人がある。この高野山で宿坊を営む複数の宗教法人が、このほど大阪国税局の税務調査を受け、何と6000万円脱税していたことが発覚したのだ。宗教法人は本来「非課税」である。かなり前、京都で拝観料に課税するとして、全国の寺が一斉に立ち上がり、それを阻止したのが記憶にある。平清盛や織田信長までも、寺を怖がったのはよくわかる。為に宗教法人は課税されなくて、税金を払わないものと誰もが思っていた。ところが今回の脱税事件はお粗末な話であった。本来はポケットマネーで払うべき住職の飲み食いや、私的な支出を寺の経費に付け替え、宿坊の利益を圧縮していた、中でも大きな「総寺院」では住職の家族が3年間、宿坊の収入やお布施を私的な支出に充てていたとして、国税局は、その額を給与とみなして、何と9000万円の申告漏れも指摘された。私はこの件で国税の職員と話したが、高野山の宿坊は1年間にインバウンドの外人宿泊客だけで11万7000人に上るのだそうだ。特に文化体験を好むヨーロッパやアメリカからの旅行者が顕著であるという。さらに「高級宿坊」を謳う寺の1泊宿泊料金は、何と1人20万円を超える宿坊も珍しくなく、それでは「高級旅館」顔負けである。住職も目の前にこのようなお金があると、ついつい、それに手が出てしまうのかと思われる。一般の企業と比べて、宗教法人には税金がかかってない分、寺が豊かになるのは当たり前である。今回の大阪国税局の調査でも住職の私的流用のみに課税され、本来の寺、宗教法人の所得に対しては、それ以外、問題視されていない。
一方アメリカは宗教法人に対してはどうかというと、寺ではなく、教会という宗教法人である。私見だが、アメリカの方が宗教法人課税に対しては甘いと思う。アメリカでは宗教法人は内国歳入法(IRS)501(c)(3)の非課税団体に該当する。教会についてはもっと甘く、①IRSへの非課税認定申請が不要②毎年のForm990(活動。財務情報の年次報告書も提出不要、つまり決算書も申告も必要ないということである。日本では考えられない話③税務署IRSが教会を税務調査する場合には、通常の非課税法人より難しい手続きを踏まねばならない。
とはいっても、アメリカでも教会、宗教法人にも課税上の問題がある。まず宗教法人と関連しない事業(Unrelated Business)には通常の課税。またExcess Benefit Transaction(過大な利益供与取引)として、教会の代表者に高額な給与を支払ったり、教会の金で代表者の私的支出を賄う、あるいは教会の資産を代表者に不当な低廉価格で譲渡するなどした場合にははペナルティ税がかかるとしている、これは日本も同じであるが、日本と違うのは、今回の高野山のように、いきなり大阪国税局が調査にやってくるということはアメリカにはない。アメリカにはIRC7611という特別規定がある。IRSが教会に税務調査に入るには、単に「怪しい」とか「一度調べよう」では理由にならない。まず「その団体が非課税資格を満たしていない」あるいは「課税対象となる事業を行っている」と合理的に判断しなければならない。そしてその判断を「書面」に記さなければならない。さらに、調査する前に、教会側に事前に書面で通知し、しかも教会側とIRSとの事前協議の場を設けなければならない、とある。決算書,やForm990もない団体に税務調査が入れるわけがなかろう。かつてキリスト教の本山、バチカンで不正が問題になったことがあるが、帳簿がないのであるから当然であろう。神父、牧師も人の子であれば、本来野放しにすべきだはない。一定のルールが必要なのである。そして、日本とアメリカの宗教法人での違いは、非課税法人になるには、日本では宗教法人という法人格を取得することであるが、アメリカではIRC501(c)(3)という税法上の資格を取りさえすれよいことだ。なぜ、アメリカで教会に対する課税が甘いのかと言えば、選挙の票もさることながら、メリカで宗教団体にIRSなどが介入すると、憲法上の信教の自由が問題になるとのことで、大問題化するので、IRSは億劫になっているといわれる。トランプ大統領でさえ不法移民はたたくが、宗教団体には全く触れずにいる。イランは攻撃するがイスラム教のことは言わない。日本でもマスコミは公明党をたたくが、創価学会はたたかないのに似ているかもしれない。
★ 推薦図書。
山田実 他著 「転倒・骨折を防ぐ新常識」 文藝春秋 十月号 1300円
人口動態統計によれば「不慮の事故」によって死亡した約4万5000人のうち「転倒・転落・墜落」によるものが最も多く、そのほとんどを65歳以上(1万1175人)が占めている。その転倒のうち 9割が「スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒」である。つまり1日に30人以上の高齢者がよろめいて、転んだだけで亡くなっている。転倒は怖い、転倒すると大腿骨近位部骨折で手術となるが、手術が成功しても5年生存率は50%、これは手術によって筋力や心肺機能が急速に衰えるため、気力が失われ認知症が進む危険性があるからだ。大きな要因は脳の衰えだが、そうならないためにはどうしたら良いかを詳しく書いている。65歳以上には必読だ
