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国税庁、ますます富裕層に増税

これでは日本の富裕層は国外脱出を夢見るかもしれない。この十数年間、所得税、相続・贈与税の富裕層への負荷が加速している。あれもダメ、これもダメである。相続税に至っては富裕層とは言い難い人々への課税も創設された。4800万円以上の財産を持って無くなると相続税がかかるのである。生命保険だけで5千万円のサラリーマンも珍しくない、家一軒持っていると課税対象、死んだとき、あらゆる財産を合計して4800万円も満たない人の方が、どんな貧しい生活を送ってきたのかと思う。このように、一般家庭に入り込んできた相続税であるので、富裕層にはさらなる重税をということであろうか。来年度税制を立案するにあたって政府税制調査会の「経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」で財産評価基本通達を巡る諸問題が議題になり「一棟所有の賃貸用マンションや不動産小口化商品などの貸付用不動産を利用した節税スキームが散見されており、個別に対応せざるおえない状況があるとしている。貸付用不動産の価額は、収益性によって価値判断が行われるため、一般的に貸家の稼働状況等が良ければ市場価格も高くなる。一方、財産評価基本通達における貸付用不動産の価額は、借家人の支配権による利用の制約等を考慮して評価するため、賃貸の割合が高くなると通達評価額が低くなり、市場価格との乖離が何倍にもなる事例もある」として、①一棟所有の賃貸用マンションと②不動産小口化商品を規制するとしている。例えば10億円で一棟所有アパートを購入しても、相続税評価額はせいぜい3億円程度である。また一人で一棟所有の賃貸不動産を所有できなくとも、10億円のビルの所有権を100分割、1単位1000万円で販売する小口化商品にして、それを購入すれば1000万円で買った小口化商品は相続税評価額は300万程度となる。前者は、それこそ何十、何百億円の財産を持つ富裕者で、後者は中堅程度のゆとりのある階層の相続税対策の一環として利用されてきた。それを来年度税制で封じ込めようとしている。この国は低所得者層の節税対策はOKで、金持ちの節税対策はNOである。国税当局は、何が何でも富裕層撲滅運動をしているとしか思えない、そして、さらに中間層をもターゲットにしてきた。日本政府は将来貧乏人ばかりの国にしてしまうのが目的だろうか。
アメリカにおいてトランプ大統領は来年の税制改正で相続税の課税最低限を一人1500万ドル(23億円)夫婦で3000万ドル(46億円)にすると息巻いている。日本の4800万円とは比べ物にならない。日本にアメリカの相続税法を取り入れたら、アメリカ流の節税対策で、1年間に相続税を納める人は、多分1人あるかないかである。欧米の考え方は、被相続人が生前働いて貯めた財産は、すでに所得税・住民税の課税済みである、そこにまだ、死んだら課税するのかという考え方(二重課税)があるので、トランプの相続税減税案にたいして異論をさしはさむ議員もなく、マスコミも異を唱えない。これが日本だったら、「金持ち優遇税制」として、野党、マスコミはこぞって批判するであろう。GDPがまた落ちた、日本経済をけん引した方々の財産を、この国は重税をかけ、遺族を粗末に扱うのを憂うのである。

★ 推薦図書。
橘玲著 「HACK」 幻冬舎  2000円+税
著者の本は以前「マネーロンダリング」や「タックスヘイブン」を読んで、多分ここに紹介したことがある。今回はハッカーの物語である。21世紀のリアルな国際金融情報を書いていているが、何分小説である。筋書きは2024年秋、暗号資産で得た利益への課税をのがれ、バンコクで暮らす主人公が、ある男から相談を受け、特殊詐欺で稼いだ違法資金をビットコインを使ってマネーロンダリングしたいというのだ。この相談にのり暗躍を続ける小説であるが、この本は正直言ってかなりのIT用語知らないと読破出来ないのではないか。物語は、これからの脱税は暗号資産、ハッカーである主人公は見事に闇世界や政府の防御網を潜り抜けるとい小説である。ITの勉強になった。

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