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Brexitとオランダ

Brexitとは新語で、イギリスがいよいよEUを離脱することから、British(イギリス)とExit(離脱)の混合英語であるとフィナンシャルタイムズが説明している。この離脱問題が表面化してきてから、世界をまたにかけている大企業がEUの本部機能をオランダに移す傾向が顕著になってきている。

 

日本企業でも三菱UFJ、パナソニック、三井化学などがアムステルダムに本部を移した。それまではロンドンであったが、移転の理由について建前は「物流インフラが良い」という。確かにアムステルダムのスキポール空港から、ロンドン、パリ、ジュネーブは1時間で行ける。ロッテルダム港はEU最大のコンテナ港である。しかし、地理的要因は今に始まったことではない。

 

ロンドンに本部機能を置くメリットは金融であろう。ロンドンに金融品取扱を認めさせれば、EUのどこで商売をしても新たな許可はいらない。イギリスの離脱によってそのメリットがなくなる。それなら節税に走ろう、である。そうなると、EUではオランダである。オランダにペーパーカンパニーを設立し、それを親会社とする(最近ではオランダのペーパーカンパニーの定義も少し難しくなったが)。その親会社が収受する「配当金」や「キャピタルゲイン」は全部非課税となる。

 

EU諸国も、これらの大企業の誘致に熱心である。ドイツなどもさまざまな優遇措置を設けた。野村証券はフランクフルトに本部を移転した。ベルギーなどは他のEU諸国からの配当源泉税がゼロになるとした。カネカはベルギーに移った。

 

各国は、このように世界企業の誘致に税制で必死に取り組んでいる。日本には世界的企業の本拠地が1社も来ない。イギリスのEU離脱にしても、それを経済的メリットとしてとらえない。この問題に全く反応しない先進国は日本だけか?

 

 

☆ 推薦図書 ☆
佐藤智恵著 『ハーバード日本史教室』 中公新書ラクレ 820円+税
(A)日本と朝鮮半島の間には、厳密かつ複雑な歴史がある。古代から近代までの間で、三つ、または、四つの時代を取り上げ、「友好」と「敵対」という側面から、両者の関係の変遷を説明せよ。
(B)日本の歴史の転換点である、1600年、1868年、1945年の中で、どの年が最も重要だと考えるか。日本の政治、社会、文化の変革に与えた影響という観点からその理由を述べよ。また、他の二つの年についても論述せよ。
(所要時間50分、文字数制限なし)
(A)(B)はハーバード大学の日本史の授業での期末試験の問題である。教授のアンドルー・ゴードンは、ほとんどの学生が上記の問題に良好な点で合格しているという。脅威である。日本人でさえ、どれほど答えられるのか。世界最高といわれるハーバード大学の教授や学生たちは、日本史から何を学んでいるのか。「源氏物語」「忠臣蔵」を始め、明治維新、昭和天皇、渋沢栄一など、これほど日本史を研究している人たちがアメリカにいることに驚愕した。

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