ブログ

トランプ大統領の新・基金設立と税金無駄使い

以前トランプ大統領が、IRS及び財務省に対し、過去の自身の確定申告書漏洩の被害額として、100億ドル(1兆5000億円)の訴訟をおこしたことは、このブログで書いたが、IRS及び財務省を守るべき司法省が、トランプの多大な影響下にある中、公正な裁判は出来ないのではと裁判長は疑問を呈し問題化していたが、先日司法省は和解が成立したと突然発表した。この和解を見ると、訴訟を取り下げる代わりに、政治目的で攻撃や武器化された者が、司法により制裁を受けた人たちを補償する為に18億ドル(2700億円)もの反武器化基金を作るというものである。
ウオール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、これに対する議会の反応は共和、民主党議員ともに懸念及び不快感を示しており、この基金は、トランプ支援を行う犯罪者を助けるだけであり、税金の無駄使いだと憤慨している。この司法省の和解合意によれば、IRSにより不適切な扱いを受けた人、バイデン大統領時に定められた法律により不利益を被った人、そして1月6日議会襲撃のトランプ支持者等が該当しているが、これらの判断は司法長官に任命された5人のコミッションのより行われるとのこと。司法長官によれば、トランプ大統領自身や家族はこの基金から直接的な支払いを受けないとしている。
この基金は、トランプの政府に対する訴訟と、この基金から支払いを受け取る人たちの間には何も関係がないことから、有効性が疑問視されている。また、September 11 犠牲者に対する補償基金のように議会の承認を得たものでもない。この基金の発表があった後、例の1月6日議事堂襲撃事件で、議事堂を警備していた警官2人は直ぐに基金の取り消し訴訟をトランプ政権宛起こしている。この訴訟では、アメリカ政府に対する反乱や暴動を助ける為に発生した義務や借金を支払う為に連邦の財源の使用を禁止した修正憲法第14条に反するとしているのだ。彼らは、この基金は、1月16日議事堂で反乱を起こした準軍備的な集団を資金援助する為の裏金だと主張している。
更に、この基金設立発表と前後して、トランプ政権はEast Wing Ballroom建設とセキュリティに10億ドル(1500億円)の予算を求めている。最初はトランプ支持者による寄附で賄うとしていたトランプ大統領だが、先日起きた一個人によるホワイトハウス襲撃計画により、セキュリティを厳しくすべきだと主張し、国民の血税を使う手段に出てきたと民主党などが言っている。これには、イラン戦争によりインフレに苦しんでいるアメリカ国民に言い訳が出来ないと共和党議員も反対の意向を示している。
税金の無駄使いに関して、まずトランプ政権の演説で、トランプ大統領はメキシコ国境との壁張り巡り、そのコストはメキシコ政府に払わせると豪語していたが、結局はアメリカ国民の税金で賄われたと同じ構図で、最後は国民の税金頼りなのである。また、現在の司法長官はトランプの元個人弁護士であり、完全に司法省も乗っ取られている状況であると言われている。連邦裁判所は、この基金から恩恵を受けるのはトランプの味方だけで、著しく不公平だとして、6月に行われるヒアリングまで、この基金設立の凍結命令が出された。また、別の連邦裁判所では、トランプがケネディセンターに自分の名前を付け加えたのは違法であり、議会の承認を得る必要があるとして、直ちに名前の撤去を命令している。トランプによる行政の私物化がどこまで進むのか、また、税金の無駄使いがどこまで許されるのか、裁判所でどこまで戦うのか、新たな混迷が始まったとマスコミが報道している。
アメリカ市民は皆、確定申告をしなければならない。いくら税金を払っているか知らない日本国民との、政府に対する注目点が違う。日本のマスコミはこのような場合「予算」の無駄使いというが、アメリカでは「税金」の無駄使いという。日本の食品消費税ゼロ問題も、アメリカでは直接税の無駄使いに写る。国や政府に対しての監視が日米大きく異なるのを今回のトランプ基金であらためて実感した。

★ 推薦図書。
村木厚子著 「おどろきの刑事司法」犯罪者の作り方  講談社 1320円
著者はご存じ元厚生労働事務次官、冤罪で長期間の拘留・裁判を余儀なくされた。日本経済新聞の「私の履歴書」でも述べていたが氏の主張では、取調べの最大の武器は「人質司法」で、被疑者が容疑を否認すると、長時間にわたり拘束する。否認・黙秘をすると保釈請求しても検察が反対する。裁判所もその反対意見を鵜呑みにして請求を却下する。拘留結果で被告人が体調を崩して死に至るケースもあるが、検察官も裁判官も処罰されることはない。起訴しての有罪率は99.9%である。これは検察が有罪になると確信した事案しか立件しないためだ。これは起訴すべき事案を不起訴にしているか、無実の人を有罪に仕立て上げているか、あるいはその両方を行っていることを意味する。

関連記事

  1. アメリカ確定申告始まる。今年の異変
  2. IRSの税務調査、対象の選定はどうしているのか
  3. ボブ・ディランなど著名音楽アーティスト、税金対策に走る。アメリカ…
  4. 相続税収、過去最高、今や大衆課税に
  5. アメリカの執拗なまでのオフショア口座解明
  6. 国税庁公表、国外財産調書の実態
  7. 日米の大臣にこれだけの格差

アーカイブ

PAGE TOP