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アメリカの富裕層税金滞納者にペナルティ、IRS

アメリカのIRS(国税庁)によれば、2023年から2024年半ば迄に富裕層から約10億ドル(1600億円)の延滞税金を回収したとの発表があった。ここでは年収100万ドル(1億5000万円)以上で、25万ドル(3800万円)以上の税金を延滞している富裕層1600人を対象に、1500人ほどのIRS署員を割り当て、この春迄に1200以上から約1億ドル(150億円)を回収したとした。
IRSによれば、2023年初めには175人から、3800万ドル(57億円)、10月迄には100人から1億2200万ドル(185億円)、2024年1月時点では3億6000万ドル(540億円)を回収し、合計で5億ドル(780億円)、そしてこの半年で1億ドルまで回収額が増大している。IRSによれば、140万の富裕層が全く申告をせず、657億ドル(1兆円)もの税金が延滞し、彼らの無申告は過去1回だけではなく常習犯となっている。
IRSは富裕層に対する税務調査を厳しくしているが、更に2021年からの新税法で税金債務基準額5億ドル(750億円)(2024年度は62000ドル)超の納税義務を負う納税者に対しては、国務省と連携し彼らのパスポートの発行をしない、更新をしない、又は取り上げることを法制化した。順序としては、IRSはまず税金債務基準額を超える納税者を深刻な税金延滞者として認定し、国務省に報告する。同時にIRSは納税者に対し、90日間の猶予期間を与えるが、その間支払いがない場合はパスポートの発行や更新の停止、又は取りあげる旨通知を行う。90日以内に税金が全額支払われる、もしくは一部支払われることにより債務基準額を下回る、時効により回収が出来なる場合にはIRSは国務省に報告し、執行の停止を依頼する。
納税者に取り、90日間の猶予期間があるわけですが、例えば、このIRSからの通知書が届かない場合にはどうなるか?アメリカの郵便事情は日本では考えられないがアメリカに住んでいる者なら、この間の事情はよく分かるはずである。実際、通知書は届かなく、パスポートを取り上げられ、訴訟になったケースもある。しかし、裁判所はIRSが納税者を深刻な税金延滞者であると認定することは、通知書が届かないことは関係ないとその訴えを退いている。
この件に関しては、様々な訴訟が起きているが、納税者はいずれのケースでも負けている。但し、海外にいるアメリカ人にとっては深刻な事態を招きかねない。海外の居住場所にもよるが、届くまでに長い時間がかかる、もしくは届かない事態も発生する。パスポートが失効し、不法滞在となる、アメリカに戻らざる得なくなる等様々なケースが考えられるが、アメリカの納税者は常に税金滞納金額の把握及び住所に間違いがないかを確認することが必要になってくる。また、このような通知書を受け取った場合は、速やかに是正の行動を行い、その専門の弁護士に相談をすることが必要であるとしている。いろいろ問題のあるIRSだが、税務署はどこの国でも国家権力である。舐めてはいけない。しかしさすがアメリカである。この規定を日本に当てはめると750億円から1000億円以上の税金を払う義務がある日本人はどれくらいいるのだろうか。先ほどテスラのマスク氏が年収を8兆円にするといったが、驚いたのは日本のマスコミで、アメリカは単なる報道だけであった。ますます格差で置いてきぼりにされる日本、何度も言っているがGDPが減少し続ける国、国家運営に国民の負担ばかりが増える。
しかし日本と違い税法でも優遇されているアメリカ富裕層、その上に税金まで滞納するとは納税意欲が疑われる国である。
また日本では多額の税金の滞納者は個人の場合は発生しない、なぜなら日本では税務署は納税者の預金や不動産など差し押さえて、しかる後に競売にかけるからである。なぜアメリカはしないかというと彼らの財産の多くは信託に組み込まれているからである。日本でも信託財産には容易に手が出せないが、日本にはその習慣がないからであろう。

☆ 推薦図書。
北村薫 有栖川有栖編 「清張の迷宮」文春文庫 960円+税
今回はビジネスには全く関係ない。この本は松本清張の究極の短編小説10の傑作を編者が選んだものである。私は清張の愛読者を自認しているが、何しろ多くを読んだのが10代20代であるので、改めて最近のこの本を読んでみて、ほとんど過去に読んだのであるが覚えていたのが3編だけだった。長編小説ではないので
印象に残りにくいのであろう。ミステリー界の旗手二人が厳選し、文句のつけようのないミステリーの傑作、松本清張作品、人間への鋭い洞察が深い余韻を残す名作選で、何年たっても大作家の魅力を存分に味わえる10作、暑い梅雨の最中クーラーに当たりながら休日を読書で過ごしたい肩の凝らない本である。

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