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アメリカ撤退によるアフガニスタンの混迷の真実

世界を揺るがしている;カブール空港でのテロは、ISIS-K(Khorasan) なるISIS本体より過激なISIS関連組織が犯行声明を出した。ISIS-Kは、タリバンとは敵対するテロ組織だ。日本の報道はいまいち解かりにくい。そこでWall Street Journalの報道を伝えることにした。この報道によると、カブ-ルにKhalil Haggani氏が現れ、白昼堂々と演説をしたとあった。彼はアルカイダの流れをくむHaggani Networkの長で、イスラム主義者の中で最も過激で暴力的であると言われる。アメリカは彼の首に500万ドル(5億円)の懸賞金をかけていて、その彼が白昼堂々と現れたあたり、Haggani Networkが台頭していることを物語っている。今後アフガンを狙いシリア、イラク等様々なイスラム主義テロ組織が終結することは間違いなく、アフガン情勢は益々混迷が深まる。
アフガン人は決死の覚悟でカブール空港からの脱出を図っているが、誰でも米軍機にのれるわけではない。米軍機に乗れるのは以下4つのグループに入るものだけである。①米国ビザ、永住権、市民権所有者、②ビサ申請者、③Refugee、難民と言われるカテゴリーだが、米国の非営利団体やメディアの勤務経験者、もしくは国内にいると迫害されるような人たちのみ。④Parole、臨時入国許可者、亡命希望者、もしくは米国に家族がおりスポンサー出来そうなグループ。彼らは一旦カタール、バーレーン、ドイツに送られ、セキュリティ検査が厳しく行われ、ビサ手続を行うが1年以上待つ場合もある。この検査を通過した者たちはニュージャージ、ウイスコンシン、バージニア、テキサスの米国の4基地に送り込まれ、更にビサ発行を受け、その後移民支援団体により受入先に送られるという事である。
このような状況の中、タリバンがイランから原油を購入開始した。もともと、イランからの原油の購入は行われいたが、欧米がイランへの金融制裁の中、アメリカは原油決済のドルを厳しく管理していた。タリバンが制圧して以来、阿片を売って儲けた豊富なドルを基にイランからの原油購入は益々増加すると見られている。タリバンは経済を活発化させる上で原油は必要であり、またイランはドルを手に入れられるわけだからWIN、WINという事になる。ただ、タリバンはイスラム教スンニ派でイランはシーア派なので、イランはスンニ派過激組織のテロの激化や、アフガン避難民の流入を懸念している。
アメリカの撤退の理由は、アフガン統治に資金と犠牲が大きすぎるということであろう。アフガン戦争は2001年9月11日より始まりアメリカはこの20年間で2兆ドルと費やした。これは毎日3億ドル(300億円)使っている計算である。この2兆ドルはJeff Bezos、Bill Gates、Elon Mask、更に最も富裕なビリオネアー30人の資産の合計額より大きな金額でだという。8000億ドルを直接的な戦争費用、850億ドルはアフガン軍隊の訓練、アフガン軍人に対し年間7.5億ドルの給与を支給してきた。更に2500人の米国軍人、4000人の米国民間人、6万9000人のアフガン軍人 、47000人のアフガン民間人が死亡している。また、2万のアメリカ人負傷者のケアにこれまで3000億ドル(30兆円)費やしてきた。これらの費用は赤字国債で賄っているので利息が発生している。これまでの利息支払額は5000億ドル(50兆円)52050年までには利息だけで6.5兆ドル(650兆円)支払う計算になる。これだけのお金を費やしながらアフガンのガニ大統領は真っ先に亡命、30万人ものアフガン兵も逃走した、バイデン大統領はアフガン政府及び軍隊並びに国民や国を守りたいなら、戦えと言ったが、皆逃亡ということであればどうしょうもないということだ。ブッシュ(息子)が始めたこの戦争をバイデン大統領が自分で終わらせる必要があると言いったが、アフガン人が自分たちで国を守る意識がないことは判明した以上、この決断は正しかったとを言わざる得ない。日本でも、殿を勤めるのはよほど信頼のおける武将でも難しい仕事である。今回の米国撤退も数千人の優秀な海兵隊で行っているが、タリバンによる空港検問に依存せざる得ない為、最後まで緊張状態は続くと思われる。日本の報道はテレビなどで見える範囲の解説でしかない、パラリンピック、コロナ騒ぎ、高校野球で明け暮れるテレビや新聞だが、世界の中で日本が置かれている状況も、正しく報道をしなければならないのではなかろうか

☆ 推薦図書。
ショシャナ・ズボフ著 野中香方子訳 「監視資本主義」東洋経済新報社 6160円+税
監視資本主義なる言語が出た。この本の実際のタイトルはTHE AGE OF SURVEILLANGE CAPITALISMである。本来、各種のデジタル製品から得られる機密情報を含む家庭や個人の情報はプライバシーであり、保護されるべきである。。ところがグーグルなどは保護されるべきである個人情報を商業利用している。このことを「監視資本主義」と著者は位置付けている。監視資本主義は「道具主義」を生み出した。道具主義者はネットワークされたデバイスなどを介して、私たちの行動を知り、私たちを「操り人形」にしようとする。グーグルの創業者達は、株式公開時に「複数議決権株式」なるものを導入し、自社を完全支配下とした。グーグルは「法律が整備されていない領域を見つけ、その領域を我が物にする」である。これからも、ますます個人情報を集め、利用できるシステムを構築するであろうと。

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