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日本の「居住者」か「非居住者」かの判定、東京地裁

このほど、東京地方裁判所(民事第3部)は日本とシンガポールの法人の同一代表者が、所得税法上の日本の「居住者」か「非居住者」かで、国税局と争った事件で、判決を下した。日本法人の代表者が平成25年5月にシンガポールに会社を設立して、そこの代表者についた。そして住民票を日本から抜き、シンガポールに移した。彼は日本法人とシンガポール法人の双方から役員報酬を得ていた。日本法人は役員報酬を「非居住者」として20%の源泉税だけを行い、それを源泉徴収税として税務署に納付していたところ、国税局は、代表者が「居住者」に該当するとして、もっと高い源泉所得税の告知処分を行い争いとなった。滞在日数のカウントであるが、代表は両国の他に複数の国にも滞在していた。①平成25年は日本141日シンガポールに56日②平成26年は日本253日シンガポールに89日③平成27年は日本177日シンガポールに163日であった。東京地裁は、居住者とは「国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」と規定されている(所得税法2条①三)「住所」であるか否かは「客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当」(最高裁平成23年2月18日判決)生活の本拠を有しているか否かは①滞在日数及び住居②職業③家族の居所④資産の所在を総合的に考慮して判断するとしている。この裁判では平成25・26年は日本居住者、平成27年は「非居住者」と判決した。東京地裁は、平成25・27年は日本滞在に日数は年半分以下だが、平成25年は日本での仕事が主であるとした。もし彼の収入源がこの3年間日本になかったら3年間とも日本「非居住者」であったろう。彼にアドバイスする国際税務に精通している者がいなかったからであろう。

☆ 推薦図書。
ジョナサン・ハスケル/スティアン・ウェストレイク著 山形浩生訳 「無形資産経済 見えてきた5つの壁」 東洋経済新報社 3080円
今、世界が直面している経済失望、これは以下の5つが原因であるとする。①経済の停滞、20世紀後半は先進国のGDP成長率は2%後半、2000年からのアメリカは1%ほど②21世紀に入り、物質的な格差とエリートなどのステータスの格差が拡大している③各産業で一位の企業と、その他の企業との差が広がり、競争不全に陥っている④国際サプライチェーンなど相互接続された脆弱性が見られる➄インターネットの普及によって、いかがわしいものがあふれ、正当性を欠くものが多くなった。
これらの問題は資本の性質が変わり、企業は物理資本ではなく無形資産(研究開発、ブランド、ソフトウェア)などに投資している。機械。建物から企業投資は触れないものに向かっている。21世紀の最初の10年の終わりごろから、対GDP比率でみた無形資産への投資は減速し始めた。それはすでに、その後も続いており、これが世界的GDPの伸びが低下している最大の要因だとしている。

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