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大統領の確定申告書

前のブログでクリントン夫妻の確定申告書の詳細を書いた。現在、共和党、民主党とも指名争いの最終段階である。ただ、トランプ氏だけは申告書を開示しない。もっとも、ヒラリーと争っているサンダース(Bernie Sanders)が渋々2014年分の確定申告書の最初の2ページだけを開示し、最近になって、やっと全ページを開示したが中味を見ると、たいしたことはなく、なぜ開示を渋っていたか理解に苦しむ始末である。

 

バーモント州上院議員であるサンダース氏の2014年度の夫婦合算申告書では、年間所得は20万5,271ドル(2,300万円)、連邦所得税が2万7,653ドル(300万円)でその税率は13.5%となっている。バーモント州の州税、固定資産税等で2万4,509ドル(270万円)、住宅ローン減税額が2万2,946ドル(250万円)、ちなみに日本では、住宅ローン減税は最高でも年間50万円だが、アメリカは支払った住宅ローン利息は所得控除されるから、こうなる。そして、寄附金控除は8,350ドル(90万円)となっている。バーモント州の上院議員としての年間給与が17万4,000ドル(2,000万円)、ソーシャルセキュリティーが4万6,213ドル(500万円)、その他年金が4,982ドル(550万円)である。その他、配当が2ドル(220円)、利息収入が11ドル(1,300円)となっている。サンダースの連邦税率が13.5%と低いのは、税額控除が大きいことを意味している。これは住宅ローン控除が原因である。彼はあまり税金を払っていないにもかかわらず、国民皆保険をうたい、大学の授業料を無料にする一方、最高税率をなんと90%に引き上げると言っている。理解しがたいものがある。

 

一方、現職のオバマ大統領の確定申告書がこのほど公表された。所得は夫婦合算で43万6,065ドル(4,800万円)、昨年より8.7%減少しているが、その主な原因は印税収入が減少しているからである。所得税は8万1,472ドル(900万円)支払っているので、税率は18.7%となる。印税は6万745ドル(670万円)となっていて、残りが大統領としての給与である。寄附だが、6万4,066ドル(700万円)をFisher House Foundationという、治療を受ける軍人や退役軍人の家族に住まいを供給する慈善団体への寄附と、娘二人が通うSidwell Friends Schoolという私立学校に5,000ドル(55万円)、副大統領のJoe Bidenの息子で昨年若くして亡くなったBeau Biden氏に敬意を表し、Beau Biden Foundationに5,000ドル(55万円)を寄附している。

 

その副大統領のBiden氏の確定申告書だが、夫婦合算で39万2,233ドル(4,400万円)、9万1,546ドル(1,000万円)の所得税を支払っており、連邦税率は23.3%となっている。寄附金額は6,620ドル(72万円)となっていて、いちばん多額の寄附はCatholic Diocese of Wilmington, Delawareで金額は2,400ドル(26万円)となっている。

 

このように、アメリカの政治家の所得や寄附金は1ドル単位で公表されている。日本の政治家は年所得と資産しか公表されない。その意味では、まだまだ日本は発展途上国である。

 

 

☆ 推薦図書 ☆
姜尚中著 『漱石のことば』 集英社新書 760円+税
著者・姜尚中が夏目漱石の大研究家だとは知らなかった。漱石の平易な言葉は、今なお私たちに深い知恵をもたらしてくれている。「可哀想は惚れたという意味」「本心は知りすぎないほうがいい」「みんな淋しいのだ」「嘘は必要」など、漱石研究家の著者が148の文章を紹介している。我々日本人は中高生の頃に漱石の本に触れる。「坊ちゃん」や「吾輩は猫である」など痛快で軽妙な作品で、あっという間に読み終わる。
有名な「こころ」の先生の言葉に著者は心を奪われたという。「私は淋しい人間です」と先生はその晩又この間の言葉を繰り返した。「私は淋しい人間ですが、ことによると貴方も淋しい人間ぢやないですか……。」著者は淋しい人間から差し出される、淋しい人間だけにわかる言葉を求めていたのだ。「これだ、これこそ、自分が求めていたものだ」と。
漱石は「硝子戸の中」で病気の進行を尋ねられて、「継続中です」と答えている。生きるということは、わからないことが「継続中」であることを示している。言い換えれば、それは、私たちが「途上」にあることを意味しているのだ。答えがない。人生にゴールはない。どこまで歩いても「途上」である。
私は、ご多分に漏れず、漱石の本は十代の頃にほとんど読んだと思っているが、「こころ」「門」「それから」などの本をもう一度読みたいと思った。

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