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22億円の申告漏れ、ノーベル賞受賞者・本庶博士

ノーベル賞の本庶博士、このほど大阪国税局から、何と22億円もの申告漏れを指摘された。私の知る限り、申告漏れを指摘されたノーベル賞の日本人としては3人目である。国税局も脱税容疑をかけるのに、有名人や地位のある著名人にはためらう。特に国民的英雄であるノーベル賞受賞者に申告漏れを指摘するのは、国税局長だけの判断だけではあるまい。国税庁長官はもとより財務大臣の許可を取っているはずだ。もし受賞者から訴えられて「無罪」ともなれば国税局長の首が飛ぶだけでは済まされないはずだ。

茂木健一郎氏もそうであったが、どうも日本人の天才科学者たちは納税意欲に欠けるようだ。

博士は今。コロナウイルス感染症でも話題になっているが、「オブジーボ」につながる研究で、ノーベル医学生理学賞を受けた京都大学特別教授で、最近では小野薬品工業を相手取って裁判までおこしている。話題性の多い先生ではある。

国税局が指摘したのは、オブジーボを製造販売する小野薬品工業から支払われた特許の使用対価である。博士はオブジーボの元となる分子「PD-1」の特許について、共同出願した小野薬品工業と2006年に使用契約を結んだ。この使用対価が低すぎるとして、博士が受け取りを拒否し。裁判に打って出たのである。小野薬品工業はこのカネを法務局に供託。国税局が供託金であっても、最低限、本人が受け取ることができるので、課税対象とした。当然である、家賃なども供託して争う事例が多いが、供託金は本人の収入である。これほどの額である、弁護士や税理士に相談はしたであろう。脱税容疑の本人はコメントとして「ルールであり、僕は「特例」ではないというのは理解したので、言われる通り修正・納税した」と。どうも偉い先生は錯覚しているようだ。日本国民である以上、等しく納税義務を負っている。あなたがノーベル賞受賞者であっても、「特例」ではないと。

☆ 推薦図書 ☆

外山滋比古著 「思考の整理学」  筑摩書房  520円+税

先日、私の尊敬する美容業界のリーダーの機関紙のコメントに、外山滋比古氏が載った。懐かしかったので、読み直した。私が読んだのは昭和50年代、しかし今も色あせない名著である

帯封によると、「刊行から34年、124冊253万部突破、東大・京大で1番読まれた本」とある。冒頭での章では、その要約じみた言葉がある「先生と教科書に引っ張ってもらうグライダー型ではなく、エンジンを積んで自分の頭で考え、自力で飛びまわれる飛行機型の人間こそ、必要だ」この解説、意味合いが後の章に書いてある。知の巨人である著者は、自分の頭で考え、自力で飛翔するためのヒントが詰まったこの本は、学術エッセイで、特に若い人に読んでもらいたい。

数学は思考力をつけるというけど、回答を出すというのは、問題を与えられて回答を出すわけだが、問題そのものは他から与えられたもので、自分で考え出したものではない。問題そのものは、いつも。初めに問題ありきである。自分で問題をつくり、それを解くという数学は、普通、ついに一度も経験することなくして学業を終える。ギリシャ人が人類史上最も輝かしい文化の基礎を築き得たのも、かれらにすぐれた問題作成の力があり、「なぜ」を問うことができたからだといわれる。飛行機能力が素晴らしかったのである。今の教育からでは創造能力は生まれない。

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