明けましておめでとうございます。昨年度は1回も欠かさず毎週ブログを書いた。頭を悩めたのは★推薦図書だ、紹介できる本が少ない。本屋に山積みしているが、買って読むとつまらないものが多くなった。とは言え、今年も書く。
国税庁は先月、令和7年事業年度の「所得税及び消費税調査等の状況」を公表した。調査件数は年間73万6336件。このうち高額・悪質な不正計算が見込まれる「特別調査」が3万6404件、個人を対象に同様の「着眼調査」が1万492件だった。この「着眼調査」で際立ったのが「暗号資産取引」だ、調査の結果、申告漏れ所得金額は1件当たり2538万円で個人の調査としては高額である。特に富裕層を狙い撃ちにした感がある。当たり前の話だが低所得者はそもそも税金を払っていないので税の取りようがないが、所得申告漏れが見つかっても10%ぐらいの税率では、役所といえども費用対効果を考えるであろう。そこで年間4000万以上の所得の人は所得税率45%住民税率10%であるから取りがいがある、追徴すると、さらに比例して加算税、延滞税も高額になる。狙い撃ちした富裕層の定義だが、一昔前では所得や資産を数字で表していたが、今はそうではない、国税庁は「有価証券・不動産など大口所有者や経常的な所得が特に高額な個人、海外投資などを積極的に行っている個人」としている。そしてこの富裕層への税務調査を昨年度2427件行った。結果1件当たりの申告漏れ額は3449万円であった、かなりの額である。さらに「海外投資を行った富裕層」に絞ると1件当たりの申告漏れ額は何と6680万円に上る。円安の影響もあろうが、一般調査の所得申告漏れの5,6倍である。これでお分かりの通り、海外投資を行う富裕層が税務署の所得税調査のターゲットになっているのである。国税庁は、データ活用を前提としたAIによる分析で申告漏れの極めて高い申告者を抽出して調査対象を決めていくとしているが、AIが「極めて申告漏れの可能性が高い納税者」とは、どのように判断するのだろうか、キーワードは4つ、「富裕層」「海外投資」「インターネット」「無申告(海外所得)」である。国税庁曰く、「AIだけに頼っているのではなく調査官の知見を活用することで追徴税額の増加につながっている」としている。海外投資に関しては国際規制が年々強化され、国外送金記録や国外財産調書、出国税などで網を張っているが、昔と異なり捕捉確率は上がっている。しかし海外脱税で捕まっている者の多数は「海外の資産なら税務署にわからないだろう」くらいの感覚である。これからは海外の国際税務に精通したコンサルに相談しないと、社会的地位の高い富裕者の名誉と追徴課税という高い代償を払うことになる。
★ 推薦図書。
奥村眞吾著 「狙われる富裕層」週刊エコノミスト1月5日発売 毎日新聞社 990円
正月号である24ページ目に私が急いで書いたものである。これは先月、高市内閣初となる「税制改正大綱」なるものが公表され、富裕層が大変な重税になるとのことで新聞社が解説をしてほしいということで急遽引き受けた。日本はご存じの通り超累進課税が個人に覆いかぶさっている。4000万円以上の所得だと55%の税金が取られ、稼いでいる本人よりも国等が持っていく金額の方が多い、それでも富裕者は20%の株式譲渡益や配当の分離課税で馴らしたら税率として30%台になるではないか、これは不均衡だと、訳の分からない、欧米では歯牙にもかけない理屈が通って、年収6億円以上のものにはさらなるミニマム課税を払わなければならなくなった。これでは、金持ちになるのは悪であり、そしてペナルティを払わなくてはならない国に、欧米の富裕層はもとより優秀な若者も来なくなる。スタートアップ企業を政府が支援しているにも関わらず創業者利得に対しては更なる税金をかける国、今年はますます新規上場が少なくなるのではないか、富める者を妬む国になったのだろうか、と。
