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トランプ政権、移民受け入れ国から移民排除国へ、変身か?

先日、アメリカ合衆国の国土安全保障省は総額約1億4000万ドル(200億円)で中古のジェット旅客機・ボーイング737を6機購入すると発表した。これは年初にトランプ政権が通過させた法案で国境警備に関わる予算1700億ドル(25兆円)の一部で支払うとしており、中古ジェット旅客機の購入目的は、今まで不法移民の輸送をチャーター機に依存していたものを、全て移民・関税執行局(ICE)にて不法移民の国外退去の輸送を実行するというもので、規則的に、頻繁に、効率的に、長期的に、移民を国外退去させる態勢を国家を上げて整える意思の表れであるとしている。
数日前には、トランプ政権、アメリカ国土安全保障省はESTA(日本人旅行者は全てこれ)を利用しアメリカへ入国をする海外旅行者や短期ビジネス滞在者に対し、過去5年間のSNSの使用履歴の提出義務化をする提案をしている。削除されたコンテンツやダイレクトメッセージ等の個人情報も含まれるのか、またこれらのデータがどのように共有され、また管理されるのかは、今の段階で明確ではないが、旅行者に対するデジタル監視の強化となるのは必定だ。確かにアメリカ税関・国境警備局は今でもアメリカに入国の際には、いつでも旅行者の電子機器を調べる権利はあるとされているが、アメリカ旅行を楽しみしている旅行者が、過去のトランプ批判で入国出来なくなるというのは、今までのフレンドリーなアメリカから掛け離れている。この外国人入国規制の流れは、最近、アメリカの国立公園を訪問する際には、外国人旅行者には高い入園料を支払うことを定めたことにもつながっている。
更に、12月1日には上院議員であるBernie Moreno氏によりExclusive Citizenship Act of 2025という法案が紹介された。この法案には私も驚いた。というのも、この法案は他国との2重国籍を認めないというもので、法案成立後120日後に発効し、もしアメリカとの2重国籍者が1年以内にどちらかの国籍を選択しない場合、アメリカ国籍が自動的に失われるというものである。 Moreno上院議員自身はコロンビア生まれで、18歳でアメリカ市民権を取得し、同時にコロンビア市民権を放棄、アメリカのみに忠誠を誓っているとしている。日本人も多いが、アメリカ国籍を失うことにより、EXIT TAXが生じるので税制面からも大きな問題となる。過去の最高裁判所の判例及び憲法修正第14条には、アメリカ市民権の離脱は自らの放棄のみ有効で、アメリカ政府が剥奪したり、自動的に国籍が失われることは違法であると考えられ、今後法廷闘争に持ち込まれることは必至である。また歴史を翻っても、アメリカインディアンには、部族の主権が認められ、先住部族が自己の統治する権限を与えられおり、ある意味2重国籍である状態なのは周知の事実である。この法案では、この部族の主権がどうなるのか懸念するアメリカンインディアンが多数おり、これも行方が注目されている。
このMorenoの示した法案においても、最近のトランプ政権による移民政策は、もはやアメリカが移民の国ではなく、移民を排除する国へと明らかに変容している。アメリカ人自身も今まで学校で習ってきたアメリカの姿とは違うと感じている人もいるという。これはアメリカの同盟国も同じように感じているはずである。さらには、移民政策だけではなく、他の政策も変容しており、どこまでアメリカが変わるのかにより、今後のアメリカに対する付き合い方には、EUも日本も他の同盟国も注意が必要になってきたとメディアも言っている

★ 推薦図書。
吉森保著 「私たちは意外に近いうちに老いなくなる」 日経BP  1800円+税
「オートファジー」が主要テーマである。オートファジーとは「自ら(Auto)」と「食べる(Phagy)」という言葉の組み合わせの造語で「自食作用」とも呼ばれる。自分を食べるとは、体の細胞が自分自身の中の一部を食べて(分解して)それをまた再利用するための材料とする。人間の体は37兆の細胞から構成されるが、このような「入れ替え」が絶えず繰り返される。オートファジーは加齢とともに入れ替える能力や掃除能力が落ちてくる。この結果細胞内に不要物が溜まりやすくなる。オートファジーの能力を低下させるのがルビコンと呼ばれるタンパク質である。このルビコンを退治することによって老化が少なくなる。どうしたら良いかを問う本である。

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