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ヤンキースAaron Judge 62号ホームラン記念ボールと税金

大谷とMVPを争っているNY Yankeesの Aaron Judgeが、この前 61年ぶりにAmerican Leagueホームラン記録を破り62号をたたきだした。National LeagueではSammy Sosaが66本、Mark McGuireが70本、Barry Bondsが77本打っているが、全員が薬物疑惑で、正当な評価はアメリカではされておらず、このAaron Judgeの62号ホームランが正真正銘の大リーグの記録だという人が多い。
さて、この記念すべき62号ホームランだが、いくらの価値があり、税金がどうなるのかという記事がForbes誌に掲載されていた。そもそも彼のホームランボールはどれだけの価値があるのかわからないのに、キャッチした者は申告する必要はないと多くの税務専門家は考えているようだが、中には、そのボールをキャッチした時に何らかの申告をするべきだという者もいる。 ある記念品専門の会社社長は62号ボールをキャッチしたファンに200万ドル(2億9000万円)のオファーをした。このファンは売るかどうかまだ決めていないと言っている。もちろん売った場合には、アメリカでは来年4月15日の確定申告期限までに申告を行う必要があり納税しなければならない。死ぬまで持っていれば、そのボールの価値がどこまで上がるかわからないが、全財産が1200万ドル(17億円)以下であればアメリカでは相続税はかからない
そのボールを慈善団体へ寄附したらどうだろうか、そのままボールを寄附した場合には問題はないが、そのボールを換金して、それをすぐに寄付したとなると、所得控除額(寄付金控除)は収入の60%に制限され、寄附先によっては収入の30%まで制限される場合もある。日本と異なり、その年、寄付金控除できなかった寄付金額については5年にわたり控除出来るが、その間税金を払うことになりかねない。
過去Derek Jeterが、ある記念ボールをキャッチしたファンから譲り受けた際、彼はファンにフリーチケットとサイン入り野球道具を渡し、交換している。このようなことはアメリカのスポーツ界ではよくある話だが、IRSはこれを所得だ、申告せよというのは厳しすぎるように思えるが。アメリカの税法上、この物々交換には通常課税となるのだ。2018年の税法改正でBitcoin、Ether等仮想通貨の交換も税金が発生するようになった。以前コイン等の交換はSection 1031で非課税とされていたが、この改正により、アメリカでは、交換で非課税なのは不動産の交換のみとなった。さて、Aaron Judgeは62号のホームランボールを返して欲しいと言っているが、果たしてこのファンがこの記念ボールをどうするのか、返すのか、売るのか、税金問題も含めて、今アメリカメディアが大いに注目している。

☆ 推薦図書。
飯塚友道著 「認知症パンデミック」 筑摩書房 946円
著者は認知症専門医である。我が国の高齢化比率は世界一で、平均寿命は男82歳、女87歳である。認知症患者も2012年に462万人となり、厚労省の予測では2025年には700万人を突破し65歳以上の高齢者の5人に一人が認知症患者となる。コロナ禍でリモートワークが広がり、ソーシャルディスタンスにより、感染予防のため人間同士が近づかないことが必要となり、これが孤独と不安を生み出す。認知症対策の大原則は「心の繋がり」である。他者との交流が少なくなると認知機能は低下する。予防は3蜜(密閉、密接、密集)だと言うが、脳にとってこの3蜜は大変良いことであるが、独居老人などは、認知症の障害が出るまで家族は気づかない場合は多い。同居家族がいても、日中は1人になる高齢者の場合、健忘症状が進行して、妄想や暴力などの「行動心理症状BPSD」が出現するまで家族のだれもが気づかないことがある。認知症が進行すると「フレイル」にもなる。フレイルとは運動不足と栄養不足により筋肉量が減り、身体機能が著しく低下することである。コロナ禍の副作用である。

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