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新型コロナ、国税庁の緊急対応、日米の差

我々の仕事で一年を通じて最も忙しい季節が3月である。3月15日が確定申告の締め切り期限であるからだ。ところが世界中が震撼した新型コロナウイルス。その感染症の拡大防止の観点から、確定申告の期限を1か月延長し4月16日とした。阪神淡路大震災の時も、3月11日の東日本大震災の時も延長しなかったが、今回のコロナでは延長した。当然のことながら、それに派生した税務調査も期間内は行われないことになった。

従って、それに伴い、他の税金もどうなるのか、法人税は原則通り行うのか、相続税はどうなのかについては、国税庁は沈黙している。3月決算の会社が大半を占める日本。法人税の申告・納付は従来通り5月末が期限となる。10人以上集まる会合、集会はご遠慮願いたいと政府は言うが、5月6月の株主総会はどうなるのか。いまや予定通り開催できるとは、ほとんどの国民、いや世界中の人々が思っていない東京オリンピック。申告期限が1か月延長の4月16日には、果たしてコロナ騒動が治まっているのか。治まっていなければ、なお延長が求められる。

ところで、アメリカは確定申告の期限は4月15日である。アメリカの市民権、グリーンカードホルダーで、日米両国で所得のある人は、先ず日本で確定申告し、次にアメリカで申告する際に、日本で納めた所得税を控除(外国税額控除)する手続きをしないといけないので、4月15にまでにアメリカへ向かう。この最中、アメリカに行けるのか、あるいは、行ったとしてもアメリカで2週間拉致されるのか不安であったが、アメリカは申告期限を延長した。しかも3か月間である。どうせ延長するなら、ちまちまと1か月単位で遅らせるより、3か月の方が気分的に落ち着くのである。

☆ 推薦図書 ☆
有森隆著 『創業家一族』 エムディエヌコーポレーション 1,800円+税
ダイエー創業者「息子を社長にするのは、いつでもできる。だが、経営者にすることはできない。」(中内功)
この本は数々の創業者一族が登場する。私のかかわった人も何人もいるので、思わず買ってしまった。ユニクロ、ニトリ、ヤマダ電機、大王製紙、大塚家具、ブリヂストン、森ビル、イオン、ヤマト、スルガ銀行、シャープ、スズキ、パナソニック、任天堂、サントリー、など44社の血縁物語だ。
日本経済は低迷している。ファーストリテイリングの柳井は「このままでは日本は滅びる」と言っている。「国民所得は増えず、企業はまだ製造業が優先、IoTとかAI、ロボティクスが重要だと言っていても、本格的に取り組む企業はほとんどない。あるとしても、僕らみたいな老人が引っ張るような会社ばかり、僕らはまだ創業者だが、サラリーマンがたらいまわしで経営者を務める会社が多い。こんな状況で成長するわけがない。企業家の多くも上場して引退するから、今は企業家の引退興行だ。今、成長しているのは本当の企業家が経営している企業だけだ。結局、この30年間に一つも成長せずに、稼げる人が一人もいない、稼げる企業が一社もない。輸出に依存していて、グローバルカンパニーにはなっていない。30年間負け続けているのに、そのことに気づいていない」まさにそうだと思う。
本書は、このような柳井の創業家一族(同族会社)などは、実は投資対象として優れているという。ニトリなど経営者自身が大株主のため、長期的な視点で株主の利益を追求するのだという。株価は経営者を映す鏡といわれる。それでいうと創業家一族は優れものになりはしないか。

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