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コロナ禍、アメリカ超富裕層の引越し先

いよいよ年が押し詰まってきた。このブログは年内最後。皆さん、よいお年をお迎えください。今年もお読みいただきありがとうございました。
コロナ感染が激増する中、アメリカでは、州や市の財政がかなり悪化しており、ついに州及び市職員のリストラが始まり、多くの州が州税の引き上げを検討し出している。そのような中でカリフォルニア州から脱出する企業やビリオネアーが増えているとブルーンバーグは伝えている。最近ではHP社がテキサス州ヒューストンへ移転、オラクル社も本社機能をシリコンバレーからテキサス州オースチンに移転すると発表があった。Elon Musk氏はTeslaや SpaceXをテキサスもしくはネバダ州に本社を移転すると言っており、Musk氏自身も既にテキサス州に引っ越したと報道された。
多くのビリオネアーが、私のオフィスがあるカリフォルニア州から脱出していると言われているが、その理由は、カリフォルニア州の個人の住民税率が13.3%と高いことが挙げられる。また、トランプの税制改正により州・地方税が1万ドルを控除出来なくなった事も起因しているようだ。ちなみに、テキサス、ネバダ、フロリダ各州は、このような住民税などは全くない。一方で、ビリオネアーぐらいになれば税率は関係なく、税金は高くても住みたい所に住むとみる専門家もいる。実際Oracle Larry Ellison氏はテキサスではなくハワイ州のLanai島に引っ越しているのだ。Ellison氏は2012年に3億ドル(300億円)でLanai島の98%を購入、そして島民はEllison氏が所有するリゾート施設で働いる、Ellison氏も76歳なので気候のよいハワイで、リゾート施設を運営する方が楽しいかもしれない。
カリフォルニア州の税務当局はFranchise Tax Board(“FTB”)と呼ばれ、700人ほどの税務調査専門の調査官がいて、カリフォルニア州から出ていったとしても、その調査官がなかなか認めてくれない。住民票のないアメリカでは、物理的に自分が引っ越すだけではダメだということである。ビシネス、親族、コミュニティとの関係、美術品や家宝がどこにあるのかも、カリフォルニア州在住かどうかの重要なポイントとなる。Musk氏の場合、離婚した妻と間に5人の子供がおり、全員カリフィルニア州在住だ。また彼のビジネスもカリフォルニア州である。ビジネスがカリフォルニア州にあるということはカリフォルニアでの源泉所得が発生しているので、州外に住んでいたとしてもカリフォルニア州税を払わなければならないのだ。
またニューヨーク在住の富裕層も州最高税率8.82%、更にNY市税が別に3.87%課税されるのでフロリダ州へ移転しているようである。ビリオネアー投資家Carl Icahn氏もフロリダ州へ引っ越したし、トランプ大統領も居住先をマンハッタンのトランプタワーからパームビーチのMar-a-Largoに変更している。ヘッジファンド大御所のPaul Singer率いる Elliott Managementもマンハッタンからフロリダ州へ引っ越した。
多くのビリオネアーがテキサスやフロリダに移転しているが、ビリオネアーまで行かないまでもミリオネアーのカリフォルニア州流入は増加している。カリフォルニア州では2018年には百万ドル(1億円)以上の所得申告者数は9万1560人おり、これはテキサス州やフロリダ州の2倍にあたる。税金は高いものの気候の良いカリフォルニア州はある一定の富裕層には人気があると言える。これは私も感じるがカリフォルニア州の素晴らしい気候を住民税で買っていると思えばよいのではないかと

☆ 推薦図書 ☆
大山健太郎著 「いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」 日経BP 1600円+税
著者曰く、2020年を境に、世界は大転換する。アフターコロナは新常態になる。そして会社経営も新常態が求められる。この本でアイリスオーヤマ会長である著者が、いかなる時代環境でも利益を出せる会社の仕組みを伝授する。あらゆる設備の稼働率を7割以下に抑える。これは生産体制に余裕を持たせること。何かの需要が急に出現したときに対応できるように。そして顧客中心に経営を組み立てる、すなわち製品を使う人の動きを把握した「ユーザーイン型の経営」。ユーザーイン型の経営に落とし込むポイントは「伴走型の開発」である。アイリスオーヤマは毎週全部署の責任者が集まるプレゼン会議を開いている。「選択と集中」を過度に取らない。むしろ分散を図ることでバランスを高める方がよい。

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